春の始まり

ゆめみるねこ

春の始まり

「あー。もう小学生になっちゃう。つまらないな。」

椅子にもたれながらゆかりは言った。


私の名前は、みつみ ゆかり。 

今年から小学生だ。

前までは、小学校に行ける。とさわいでいた。

宿題は楽しそうだし、友達もたくさん作れそうだから。

でも、お姉ちゃんは

「ゆかり、宿題楽しくないよ。」

と言うばかり。

たしかに、お姉ちゃんは、毎日楽しそうじゃない。

ゆかりは学校になんか行きたくないと思うようになってしまった。


とうとう入学式の日がやってきた。

お姉ちゃんが入学式に着ていた服。

うれしそうに、にこにこしていて とってもステキだった。

私も早く着てみたい!と思っていた。

お母さんが、髪の毛もきれいにしてくれた。

まるで、おひめさまみたい。

だけど、笑顔にはなれない。

ゆかりは、大好きなお母さんと手をつないで家から出た。

わざとゆっくり歩いてみる。

このまま時が止まってしまえばいいのに・・・

どんどん学校が近くなっていく。

ゆかりが顔を上げると、そこには学校の門があった。

不安と緊張があふれ出て泣き出してしまった。

「学校に行きたくない・・・!」

ポロポロポロポロ止まらない。

お母さんに

「ゆかり、学校は楽しいよ。友達たくさんつくれるといいね。」

とあやされていると、仲良しのゆりこちゃんが近づいてきて 

「どうしたの?」 

とたずねてきた。

ゆかりは、いっしょうけんめいに説明した。

すると、ゆりこちゃんは やさしく笑い

「私もお姉ちゃんが楽しくないと言っていて心配だったんだ。でも、ゆかりちゃん がいると思うと安心したんだよ。

 だから行こ!いっしょに。学校へ。」

ゆかりは、少しびっくりした。

ゆりこちゃんも同じ思いをしてたんだ。

それでも私がいるから安心と言ってくれた。

そして、ゆかりも安心した。

ゆりこちゃんがいる。と・・・


そしてふたりは、学校の門をいっしょにくぐった。

春のやさしい風がすうっと ふたりのおひめさまの間を流れた。

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春の始まり ゆめみるねこ @yumemiruneko

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