話通り過ぎて……
数日後、予定の日となり、二人は冒険者ギルドへ向かい……途中でシャーリーと合流。
「おはよう、ティール、ラスト」
「おはようございます、シャーリーさん」
「おはよう」
「今日がバルバラ以外のメンバーとの顔合わせになるけど……どうするか決めたかしら?」
どうするか、というのはそこそこバカであるバゼスの対処である。
「テンションを下げられても面倒なので、技術で倒そうと思います」
「……もしかして、やろうと思えば力で真正面から倒せるの、かしら?」
「えっと…………ダンジョン探索とかで手に入れたマジックアイテムとかを使えば、多分大丈夫だと思います」
身体能力的にはパワータイプではないものの、実戦で何度も強敵たちを下して上げてきた腕力は、そこら辺の見せ筋冒険者たちよりも格段に強い。
バゼスも正真正銘の馬鹿ではないため、マジックアイテムの類を装備しているものの、ティールが所有している物と比べればやや質は劣る。
(接近戦だけではなく、魔法の腕も一流だって聞いてたけど……身体能力の方も全ステータス一流なのかしら?)
そこまで揃っているのはあり得ない。
一瞬だけそう思ってしまうが、これまでの冒険者人生の中であり得ないと感じる経験は何度もあった。
そして、ティールやラストという冒険者も、そのあり得ないに当てはまる冒険者だと解っていた。
「あっ、ティールさん、ラストさん、シャーリーさん。おはようございます。お部屋へご案内しますますね」
ギルドに入ると、既に三人の顔を覚えている受付嬢が顔合わせの部屋に案内。
「既に他の方々は中にいますので」
「ありがとうございます」
ドアを開けると、受付嬢の言う通り……バルバラを含めて、Bランク昇格試験を受けるメンバーが椅子に座っていた。
「あら、随分と遅かったじゃないですの!!!!」
「あの……バルバラさん、昨日の夜はちゃんと眠れましたか? クマが……」
「だ、だだだ大丈夫ですわよ!!! 今日が少々楽しみであったのは認めますが、決して寝不足などではありませんわ!!!」
「そ、そうですか。それなら良いんですけど」
相変わらず面白い人だな~と思っていると、先日想定していた通り……参加者の一人、獅子人族のバゼスが割って入ってきた。
「よぅ!!!! お前らが噂のルーキーたちか!!! どうだ、上から説明がある前にいっちょ戦り合わねぇか!!!!」
(…………いや、噂通り過ぎるでしょ。手加減ありとはいえいきなり攻撃を仕掛けてくる様な人物よりはまともなのかもしれないけど……一応普通ではないけど、まだ十五にもなってない子供ですよ、こっちは)
事前にどう対応しようか決めていたティールだが、いざ本当に聞いていた通りの人物だと……驚きの方が勝った。
「バゼス、そういうのは止めないか」
「なんでだよ、ゴルダ!! 噂通りなら、こいつら超強いんだろ? だったら一回ぐらい殴り合ってみてぇだろ!!」
「全員がお前みたいな戦闘バカな考えではないんだ」
ゴルダの言葉に、残りの一人……竜人族の女性、ゼペラも含めて小さく頷いた。
「はいどうも~~、失礼ますよ~~~。全員揃ってるな~。んじゃ、さくっと今回の昇格試験内容を説明するから、ほら、さっさと座って座って」
「チッ、しゃあねぇな~」
バゼスの考えが押し通る前に、昇格試験の説明を行うギルド職員……ロズルが入室し、強制的に雰囲気を変えた。
「今回のBランク昇格試験は、モンスターを討伐してもらう討伐タイプの試験だ。なんだかんだでBランクからは戦う相手も強くなるだろうから、コンビネーションも重要だが個々の力が重要になってくる。っと、前置きはここまでで良いか、んじゃ、お前たちに討伐してもらうモンスターの名前を発表する」
ロズルが口にした名前を聞き……約三名の冒険者は好戦的な笑みを浮かべた。
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