実質の責任者?
「それで、突然俺たちと模擬戦を行った本当の理由は、いったいなんですか?」
「やっぱりそこが気になるよね。まぁ、もう終わったことだし言っても良いかな。実はね、二人に頼めるかどうかを溜めさせてもらったんだ」
「何を、俺たちに?」
「二人が噂通りの実力者なら、正直……Bランクモンスターが数体いたとしても、二人だけで倒せるでしょ」
ロズルの言葉に、二人は少しの間考え込み、小さく頷いた。
「だよね。今回ね……Bランク昇格試験で討伐してもらうモンスターは既に決まってるんだけど、万が一のことを考えると、君たちが既に仲良くなってるシャーリーやバルバラたちを守れる人がいてほしくてね」
「……モンスターの討伐が昇格試験の内容なら、直ぐ近くに試験監督となる人物が隠れてるんじゃないんですか?」
「そうだね。ただ、一応隠密能力が高い者がそういうのを担当することになってるんだ」
「イレギュラーが発生した場合、俺たちがメインで対処すると……俺は構わないぞ」
イレギュラーの発生……つまり、ギルドが予定しているモンスターの他にも強い敵が現れるかもしれないという事。
ラストとしては、ギルドからの評価など関係無しに、そういうイレギュラーは割とウェルカムである。
ただ、ギルドからの頼みを受けるか否かを決めるのは、パーティーのリーダーであるティール。
「…………まぁ、構いませんよ。ただ、他の参加者たちはそれに納得しますかね」
既に面識があるシャーリーは納得してくれそうなイメージがある。
バルバラに関しては……頑固者、悪い意味で貴族らしいというイメージはないものの、それなりのプライドを感じる。
(バゼスって冒険者は結構無茶苦茶というか、よっぽど認めた人じゃないと従わさなそうだし……うん、もしイレギュラーが起きたら普通に心配だな)
どの程度のモンスターが現れるかにもよるが、最悪……全員を守れない可能性はある。
「そりゃあれだね……一応今度顔合わせがあるから、その時に何とかしてくれると助かるかな」
「……バゼスって冒険者もですか?」
「そうだね。ぶっちゃけ叩き潰してくれても良いよ。色々と話を聞く限り、優秀な冒険者の部類に入るんだけど、いかせん主張が強いというか、我儘と言うか……勿論、自信やエゴっていうの? そういう部分は必要だけど、場合によっては協力し合わなきゃ生き残れないんだから、そこら辺を叩きこんでくれると嬉しいかな」
(…………それ、バゼスって冒険者がルーキーの頃にベテランの冒険者とかが教えとかいけない内容じゃないんすか?)
一応頼まれたが……万が一の場合、ケツは持つ。
イレギュラーの対処は行うが、バゼスという冒険者の去勢に関しては面倒なので行わないと決めた。
「協力性がない、ねぇ……全くないわけではないんだろうけど、そこまで頼まれても困るって話だ」
「……叩き潰してそこら辺の考えが変わるのであれば、既に誰かが実行しているだろう」
「だよな~~~」
昼食をご馳走してもらった後、休暇を再開。
ティールは頼まれてからずっと心の中で溜め込んでいた不満等の感情を爆発させていた。
(……やはり、普通に考えてマスターにそういう事を任せるのは不自然だが……これまでの経験、年齢やランクが上の冒険者を相手に対処してきたことまでを知っているのであれば……ギルドがマスターにバゼスという冒険者の改善に期待するのも無理はない、か)
ラストに関しては珍しく頭が冴えており……実際にギルドの上層部はそれらの情報を踏まえた上で、ティールに期待していた。
「緊急事態でも、そこまで自分勝手に突っ走られたら……さすがにもう勝手にしろって思っちゃうかもな」
「そう思ってもおかしくないだろう」
とはいえ、主人の性格を知っているラストとしては、ティールがバゼスを見捨てるという選択肢を取るとは思えなかった。
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