あれと結びつく
訓練終了後、夕食は店で食べようと思っていたが、ヴァルターの強い要望もあってフローグラ伯爵家の屋敷で食べることになった。
二人もそれなりに腹が減っていたということもあり、事前に二人が冒険の中で手に入れたモンスターの肉などを提供。
食事が始まってから十数分後、専属の料理人たちは何故二人がわざわざモンスターの肉を提供してきたのか理解した。
「ふ、二人ともたくさん、食べるんですね」
「強い肉体をつくるためには鍛錬の他にも、たくさん食事を取ることも大事らしいですからね。肉、野菜……後、魚などもバランス良く食べると良いらしいです」
二人とも特に好き嫌いはないため、不味い料理でなければ普段からがっつり食べている。
毎日鍛錬、実戦を繰り返すだけではなく、そういった食事面でも……一応気を使っているため、ティールの体はすくすくと伸びている。
まだ冒険者としてはあまり大きい部類ではないが、十五を超える頃にはそれなりに立派な体躯に成長していてもおかしくない。
「二人共、ヴァルターの為に非常に貴重な意見を出してくれたそうだね。本当に、感謝する」
既に訓練場にいた騎士から当主であるギャルバに報告が届いており、ティールのアドバイスを受けてから聖剣技と暗黒剣技の技量が飛躍的に向上したことに嬉しさを感じている。
「いや、本当にその……パッと頭の中に浮かんだことを伝えただけですよ。今回、たまたまヴァルターさんの感覚に当て嵌まっただけかもしれませんし」
「その偶々を思い付き、息子に伝えてくれた。それだけで私としては嬉しい限りだ」
「あ、ありがとうございます」
ヴァルターはミレットやレントと同じく、十二歳から学園に入学することが決まっている。
強力な先天性スキルを有しているのにそれを上手く使えないとなれば、虐めが起きてもおかしくない。
ヴァルターは確かに伯爵家の令息ではあるが、受験しようと考えている学園には伯爵家以上の家柄の子供たちも在籍しており、入学する予定でもある。
一日目の指導から目に見えた効果が現れ、二日目は朝食後の朝から訓練が行われる。
「良いですよ! そう、持った全体を意識してください!!」
「ッ、はいっ!!!!」
この日もティール、ラストとの模擬戦を繰り返し、休憩時には扱う際の感覚について話し合いを行う。
「……最終的にな目標は二刀流なのだろう。マスター、マスターは確か疾風瞬閃と豹雷を同時に使っているよな」
「えっ、ティールさんも二刀流の使い手なんですか!?」
「使い手って言うか、そう言うんじゃないと思うけどな。二振りが結構相性が良い感じだから一緒に使ってるんだよ」
「でも、その二振りって同じタイプの剣じゃないだろ。なのにあそこまで自由自在に使えてるってのを考えると、やっぱり二刀流の使い手って言えると俺は思うが」
ラストは意図的にティールをよいしょしてるのではなく、心の底から思った言葉を口にしているだけ。
しかし、結果的にヴァルターがキラキラした目を向けることになる。
「うっ……でもなぁ~~、それこそ二刀流に関してはかなり感覚で扱ってるところがあるからな」
「そうだったのか。でも、それはそれでヴァルターにアドバイス出来ることがあるんじゃないか?」
「………………」
そう言われたら、とりあえず考える。
(風と雷は相性が良いから、それで上手くいってた部分があるからな。聖剣技と暗黒剣技ってなると……普通は相性的に考えて、火と水に近いよな…………ん? 火と水、か…………そういう感覚に、近いのか?)
ティールは一先ず思い付いた内容について二人に話す。
「なるほど、流石マスターだな。直ぐにその内容を思い付くとは」
「褒めたって何も出ないぞ、ラスト。それに、思い付く人なら本当に直ぐ思い付く筈だ」
謙虚な態度を崩さないティールだが、彼がヴァルターに伝えた内容は非常にこの先の目標に結び付く内容だった。
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