非常に優秀

「相変わらず美味いな」


バインドスネークの討伐を受けたティールは運良く複数のバインドスネークを発見。

ティールに見つかったバインドスネークは直ぐに拘束して締め殺そうとするが、ティールに触れる事すら出来なかった。


そして一瞬でその首を切断され、首が綺麗に地面に落ちる。

遭遇した数は全部で六体。その全てが無駄なく首を落とされた……もちろんバインドスネークは抵抗した。

しかし過去にバインドスネークを倒したことがあるティールには動きが全て読め、一太刀で切断された。


討伐依頼の内容はバインドスネークの討伐三体。

なので残りの三匹をどうするのもティールの自由。

そこで丁度腹が減り始めたティールはその場でバインドスネークの肉を焼き始めた。


解体のスキルを有しているティールがバインドスネーク一体分を捌く時間など大して掛からず、経った数分で終わる。


そして少量だが空間収納の中に入ってある塩で味付けしてがっつり食べる。


「こいつがいるし、こうやって森の中でものんびりと飯が食えるってのはマジで良いよな」


酸のスキルから生み出したアシッドドラゴン。

頼もしい疑似的なドラゴンがティールの身を守っている。


だからティールは周囲の状況を気にすることなくバインドスネークの焼肉を食べることが出来る。


「というか……やっぱり肉を焼いてた匂いってのは、嗅覚があるモンスターにとっては食欲がそそられるみたいだな」


今回の場合は焼肉の匂いだけではなく、バインドスネークの首から流れ出た血の匂いもあってモンスターがその肉を奪おうと寄ってきた。


しかし匂いに釣られて現れたブラウンウルフは呆気なくアシッドドラゴンに始末されてしまう。


(……良い感じに倒してくれるな。俺と同じようにクビを切断して倒した)


ブラウンウルフに牙や爪は売れるのでティールとしては残しておいて欲しい素材。

それを考慮してか、アシッドドラゴンは首を断って殺した。

酸の体で斬ったのでティールほど綺麗に斬れた訳では無いが、それでも無駄なくブラウンウルフを殺す事に成功。


「ふぅーーー……美味かった。んで、それで隠れてるつもりか?」


バインドスネークの肉を食べ終えたティールはとある木々の方向に顔を向ける。

当然のようにアシッドドラゴンもそちらの方向に向いている。


自分達の存在が気付かれている分かった者達はその場からゆっくりと姿を現す。


「……ブラウンウルフに続いて今度はコボルトが相手か。……後ろの奴はコボルトメイジか?」


ティールの目の前に現れたのは三体のコボルト。

そのうち二体は長剣と斧を持っており、その後ろに構えるコボルトメイジは森の中で手に入れた帽子とマントを身に着け、杖まで持っている。


(殺した冒険者の死体から手に入れたのか? まっ、コボルトが武器とかを手に入れるのはその方法しかないよな)


切り株から腰を上げ、戦闘の構えを取るティール。


「アシッドドラゴン、前の二体を殺せ」


言葉短くアシッドドラゴンに指示を出し、そのまま真っすぐコボルトメイジに向かって歩き出す。

しかし、そうはさせまいと二体のコボルトが武器を強く握りしめて襲い掛かる。


「「ッ!?」」


だが、危険を察知した二体のコボルトはティールに襲い掛かるのを止めてその場から跳び退く。

二人がいた場所には酸の弾が通過し、後ろの気に激突。そして酸の弾がぶつかった木はそのまま溶けてしまい、残された上部分の木が一気に倒れてきた。


その二本が丁度コボルト二体に当たりそうになるが、それも当たる寸前で躱す。

しかしそこには避けられない死が待っていた。


「「ッ、ガ・・・・・・」」


二体がちょうど避けた位置に酸の弾が通り、見事にその脳天を貫いた。

脳が機能を失った二体はそこからどうする事も出来ず、そのまま地面に倒れた。


そんな出来事が目の前で起きたにも拘らず、コボルトメイジはその表情を変えない。


(なんでそんな余裕なんだ・・・・・・あぁ、そんなスキルを持ってるから目の前で仲間を殺されても余裕そうな表情を変えないのか)


仲間を失ったコボルトメイジが余裕な訳が解かった。

そして解かった瞬間……ティールの表情が狩人の笑みに変わる。

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