あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

気になる倒し方

「とりあえず、俺は別にこの死体の所有権をどうこう言うつもりは無いから」

「そうなのかい？　それはこちらとしても嬉しいけど……おっと、まだ名乗っていなかったね。僕はエリック、Ｅランクの冒険者だ。基本的に攻撃メインの前衛で仕事をしてる」

「私はリーシアよ。ランクはエリックと同じでＥ。風と水魔法が得意ね。まぁ……苦手だけど一応火も使えるわ」

（へぇーーー、随分と優秀な魔法使いだな）

リーシアが今までどのような努力を積んできたのか、どういった人に師事を受けてきたのかティールは知らない。

ただ、それでも三つの属性魔法が使えるのは冒険者としても貴族や国に仕える魔法使いといても優秀だと言える。

「ティールです。冒険者にはなったばっかりでＨランクです。基本的に長剣を使って前衛で戦うか後方から石をぶん投げて投擲したりもします」

軽く自己紹介されたのでティールも全てを語らないが、言える範囲で自己紹介をする。

するとライト達の時と同じ反応が帰ってきた。

「えっ、嘘でしょ！　だって私達が追い詰めていたとはいえ、一人でグレーグリズリーを倒したんでしょ」

「えっと……僕もちょっと信じられないな」

リーシアはティールがＨランクだという事を全く信じておらず、ライトも半信半疑の状態。

（嘘だと言われてもなぁ……事実だからしょうがないだろ）

ある程度予想は出来ていた反応。しかしここからどう返せば良いか悩む。

するとライトが気になっていたことをティールに尋ねる。

「もし良かったらどうやってグレーグリズリーを倒したのか教えて貰っても良いか？」

遠慮がちだが、どうやってグレーグリズリーを倒しのか内心では物凄く気になっている。

（僕達でもグレーグリズリーを追い詰めるのに結構時間が掛かったんだけどね）

二人とグレーグリズリーの戦闘時間は約四分ほど。

たかが四分と思うかもしれないが、命の危機を永遠に感じる四分が一般人が考えているほど甘いものでは無い。

自分達はルーキーの中でも頭一つ抜けているとエリックは自覚している。

冒険者になってからの一年間はとある知人の言う事を聞き、一年間は訓練と街中なの依頼に時間を費やした。

その結果、元々本人が持っていた才もあってルーキーの中では実力が抜きでた存在となった。

そんな自分達が追い詰めるまで時間が掛かったモンスターを一瞬で倒したルーキーが気にならない訳が無い。

「別に良いぞ」

ティールとしては今回グレーグリズリーを倒した方法は特に隠す方法では無い。

なので二人の前で実演する。

「先ずはマジックブレードをグレーグリズリーの喉元に向かって放つ」

そこら辺の地面に向かってマジックブレードを放ち、地面は深く斬り裂かれる。

「それを倒れ込むように避けたから真上からそこら辺の石ころを使ってぶん投げた」

落ちている石ころを拾い、魔力を纏わせて投擲。

投げられた石ころは数本の木々を貫いてから地面に落ちた。

「こんな感じで倒したんだ」

「「・・・・・・」」

ティールの実演を見終えた二人はその凄さに面食らっていた。

冒険者全体の技能として考えればティールの技術はそこまで凄いものでは無い。

ただ、それをHランクでやってしまうという事実に驚きを隠せない。

そして自分達と同じく才があって努力を重ねてきたのだと思った。

「す、凄いわね。普通はあんま軽々と木を貫かないわよ」

「投擲のスキルは結構鍛えてるからな。スキルレベルが上がれば腕力もコントロールも上がるから俺にとっては使い勝手で良いスキルだよ。投げる物なんて低ランクのモンスターならそこら辺に落ちている石ころで十分だし」

勿論全ての低ランクのモンスターに石ころの投擲が効きはしない。

低ランクのモンスターで防御力に特化したモンスターには今回のグレーグリズリーの様に決定打にはならない。

それでもティールからすれば使い勝手の良い武器に変わりない。

「マジックブレードは誰かに習ったのかい？」

「ん？　あぁ……そうだな。村にいた時に腕が立つ人が二人いて、その二人から色々と教えて貰ったんだ」

間違ってことは言っていない。

一人は人では無くエルフだが、誤差のようなもの。

投擲以外の技術はリースとジンから教えて貰ったことが多い。

その他の技術は奪取≪スナッチ≫で得た技術を何度も繰り返し使って実戦で扱えるように落とし込んだ。

「そうなのか……なぁ、良かったら一緒に夕食を食べないか？　グレーグリズリーに止めを刺してもらった礼に奢るよ」

「え、あぁ……分かった、ご馳走になる。それで……他のモンスターが来る前に解体しないか？」

匂いに敏感なモンスターは血の匂いで獲物を発見出来るので、モンスターを倒し終えた後は素早く買解体してしまうのが常識。

それを思い出した三人は慌てて解体作業に移る。