第11話

 商売に失敗した彼は船員達に退職金を支払うと船で海に出た。本来出航する予定でなかった季節でもあり、また赤道を越えていたため、船は嵐に遭って沈んだ。


 さて、いよいよコンビニの話を始めよう。

 コンビニの店長は週に二度三度。店を開けては荷車一杯の商品を運んできては店に補充してきた。店員は売るだけなのでどこから仕入れて来るのかまったく気にしなかった。

 店長はせき込んでいた。


「風邪ですか?店長」


「ああ。最近タチの悪い風邪が流行っているからな。お前は平気なのか?」


「私の種族はそういうのに強いんで」


 彼の店の評判を聞きつけ、地元の貴族が商品を幾つか買って行った。彼は宴会に沢山の領主や騎士を呼ぶと、自らピューラーやおろし金を使って料理をしてみせた。

 その際一際大きな咳をした。

 が、皆珍しい異国の品を見せてもらったので満足して帰って行った。

 ひと月ほどしてフェルムス全土に恐ろしい疫病が流行し始めた。

 治せる医者がいないので多くの人がなくなった。

 一方、異世界コンビニは商品を仕入れてくる店長が突然現れなくなった。

 しかないので店員は店を畳むことにした。

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