第8話

 西方の貿易で財をなした青年は非常に賢かったのであることに気がついていた。

 故郷の武唐の漁村には海がある。

 ネディートに行く中途の漁村にも海がある。

 ネディートの大都にも海がある。

 コプトにも海がある。

 フェルムスの国々にも海がある。

 ならば全ての国々は海で繋がっているのでないか?

 そう思った彼は立派なフェルムスで船を造り、故郷の武唐に向かう事にした。

 しかし船員の成り手がいない。

 皆その様な遠くの船旅などしたことない。どおせ海に住む恐ろしい怪物に喰われて終うに決まっている。

 仕方がないのでとあるフェルムスの港の酒場に行って改めて声をかける事にした。


「この中に仲間から追放された者。学校を落第した者。単なる村人。無職な者。領民を持たない領主な者。貴族の末弟で期待されていない者。器用貧乏な者。貴族令嬢なのになぜか鍛冶職人を目指している者はいるか?私は君達の力を欲している。私の船に乗って欲しい!!」


 果たして。多くの船員たちが集まった。こうして無事に彼の船は出航した。

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