第4話
14歳になった少年はその日も大都に塩とナマコを売りに行っていた。
すると、大都で髪の毛が黄金で出来ている人間に出くわした。
「な、なんなんだ!?あんた達は?!」
少年は訪ねる。
「私はフェルムス教の神父です。この国にフェルムスの教えを広めに参りました。でも王様貢ぎ物持ってないと会ってくれません。取り敢えず今日は法王の手紙だけ渡して国に帰ります」
少年はとても頭がよかったのでこのフェルムスの神父についていくことにした。
「おい弟。俺ちょっとこの神父とフェルムスの国まで行ってくるわ」
「ええっ!!?兄ちゃん塩とナマコ売りはどうすんだよ?」
「そっちはお前達に任せる」
この時点で村は大分豊かになっていましたし、弟たちに後の商売を任せても大丈夫だと彼は判断しました。
武唐の大都から西向かう道は武唐帝の偉大なる統治政策を指し示すかのように美しく整えられています。これは初代原初帝が牛車に乗って自らが治める領土の隅々迄査察に行けるよう道路網を構築させたのが始まりとされています。
始まりの理由自体はほぼほぼ忘れ去られてしまったが、それでも道や橋を整備するという行為自体は続けられていました。
同様に武唐の領土内は代々の皇帝の威光を示すべくその法の統治を刃向かう者一切を処罰するという形式を取っています。
基本的にそれは中央に行けば行く程厳しく地方程弛いのが世の常であり、また時々の皇帝によっても強弱は様々でありました。
幸いにして少年が生きた時代の皇帝は老齢ながらも類い稀なる賢帝でした。贅沢を嫌い国内似て悪辣狼藉を働く山賊あらば此れを厳しく罰した。
つまりは少年は武唐国内を安全に旅する事ができたのです。
二ヶ月程西に進むと長大な城壁が見られた。
「随分と大きな城壁ですね。武唐の大都よりも大きい。こんな凄い物は見たことがない」
少年は城壁を守る兵士に言いました。
兵士曰く。
「これは千年前に偉大なる 原初帝がお造りになった城壁さ。何でも五十メートルの高さがあるんだとよ」
別の兵士曰く。
「おいおいそんな事言っても外敵なんて俺はここの防人になってもう何年も経つのにまったく見たことがないぜ。たまには領土内に出る盗賊の討伐に駆り出される位じゃないか」
「それだけこの国が平和って事だろう」
「では、このままこの城壁を通っても宜しいでしょうか?」
フェルムスの神父は訪ねると。
「いや。実は最近遠くの方に馬に乗った連中が見えるんだ。万が一の事があるといけねえから南の国を迂回して行けばいい。あっちとは貿易とかで仲良くしているはずだ」
城壁の兵士達は凄くいい人達だったのでその様な助言をしてくれた。
進路を南に変えること半年。徐々に整備された道路ははなくなり、蒸し暑い森が広がってきた。はて。今は冬のはずであろう。小さな漁村にたどり着く。かつて少年が暮らしていたような貧しき漁村であった。この辺りまで来ると住んでいるのは武唐の地とは明らかに違う、肌の色が褐色の者ばかりであった。
西に行けば大きな街があると言うので西に向かう。更に半年の後。ネディートの大都に到達した。
ネディートの都は武唐とは違う意味で栄えていた。
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