何者でもない私へ

何者にでもなれて、なれない私へ

　私は、四分の一だ。

　何がって？　血が、流れる血が。

　祖母はいわゆる、日本人なんかと駆け落ちした一族の恥……みたいに呼ばれるほどの英国のお貴族様の出、漫画の中のお金持ちヒロインみたいな人だ。

　これ以上言ったら、普通に身バレしそうだから割愛するけど。

　まあ、そんな前置きは置いといてこの世の中

　流行る疫病のせいで私は一年以上、祖母に会っていない。

　このご時世、便利なネットがあるけれどやっぱり直接会いたいものだし、祖母から香るあの優しく温かな花の匂いに抱きしめられたい。

　つまるところ、祖母が恋しい。

　で、また長い小話を挟んでしまったけど……

　この一年腐るほど、嫌になるほど、叫びたいほど

　日本人なら、日本人の精神ならって偉い人やなあんかよくわからんお年寄りが言ってるけど、ちょっと待って欲しい。

　散々、人のことを外人だ、純日本人じゃないだ（そもそも純粋な日本人など島国なんだからいないし、本当に住んでいた人たちは追いやったじゃん）言ってきたのに、急に、住んでるなら守れよ、やれよ、その精神あんだろって可笑しくない？

　私の人生、見た目で判断されることは多かった、今も多いけど

　小さな頃は、自分でもわかるほどに日本人離れしていた。

　子供は純粋だ、自分と違うものは指差して「変！」って言うんだよ。

　ありえないって思う？　それはそういうのも見ないフリしていたか、本当に恵まれた環境にいたからだから仕方ないしそのままで良いと思う。

　で、中学高校になるよね？　そしたら、今度は個性を大事に自分を偽るなとか学校説明会で言ってた先生が、頭髪の届け（地毛なのになんでパーマしてない染めてないって申告する意味がわかんないけど）受理されてんのに、突っかかるの。

　染めてるって、不良って。はあ？　って感じじゃない？

　おいおい、今は平成だぜ？　って思ったよね。

　見た目が違うから、怒られて指さされて、同じじゃないって言うのに

　そっちから、日本人じゃないって先に切り捨てた癖に

　今更、日本人精神を唱えないで欲しい。

　私から、日本人で良いっていう大事な部分を奪っておいて、なにを強要する。

　流行りの疫病はとっとと終息して欲しいけど、そのよくわからん根性論と精神論を今年は押し付けないで欲しい。

　だって、私は日本人でもなにものでもないんだから。