イマ自我リーフレンド

澄岡京樹

自我トーク

イマ自我リーフレンド



「イマジナリーフレンドってさ。要は別人格なワケか?」

 突如そのように訊ねられたのだが、返答に困る。とにかく困る。迷いに迷って二十秒。ようやく答える気になった。


「ケースバイケースなんじゃないかな。でも俺が思うにイマジナリーフレンドってのは……例えば心の中で思い描いた、空想上の話し相手って感じなんじゃないかな。だから別人格な場合もあるかもだ」

 解釈は人によりけりかもしれないが、俺はそう思ったのでそう答えてみた。


「ふーん、じゃあ自我があるってこと?」

 ……これまた返答に困る質問だ。ツッコミ待ちなのだろうか? やはり迷いに迷って十五秒。五秒短縮やったぜオイ。とにかく俺は答えてみせた。


「自分で返答内容まで考える——『一人芝居タイプ』もあるだろうな。けど、元から自我があったり、『一人芝居タイプ』のキャラクターが肥大化した結果として自我が発現することもあると思う」

 するとそいつは納得がいったようで元気よく頷いた。


「ウンウン、イマジナリーフレンドにも自我が発生する場合は有りそうだな! いやぁ助かった。勉強になったよ」

「そいつは重畳。お役に立てて良かったよ」

 などと口にしてみたものの、我ながら滑稽でならない。いや、彼にとっては重要なことなのだろうけど、俺にとっては発生過程から見守らざるを得なかったわけで。


 君がその、自我を持ったタイプなんだけどなぁ。




イマ自我リーフレンド、了。

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イマ自我リーフレンド 澄岡京樹 @TapiokanotC

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