砂時計

北浦十五

第2話 砂時計



さらさらさら


細い硝子の中を青い砂がこぼれ落ちていく


さらさらさら


私は月明かりの中 膝を抱えてそれを見ている


さらさらさら


砂と共に時間がこぼれ落ちていく

私の感情もこぼれ落ちていく


さらさらさら


私の感情はどんどんとこぼれ落ちていく

私の心の中はしだいに空虚になっていく


空虚になっていく心が心地いい

私という存在が希薄になっていくのが心地いい


さら


砂の最後の一粒がこぼれ落ちる

時間が止まった

私の心も空っぽになった


私は砂時計を掴むとそれを握り潰した


ぱりん


硝子の砕ける音

床にこぼれ落ちていく無数の砂粒


時間は止まった

私の心は空っぽになった

私の存在もなくなった


そんな私が何故かとても愛おしい






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

砂時計 北浦十五 @kitaura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説