上下から読める勇者と魔王の話

@ikijinohimago

第1話

ゆうしゃとまおうの話




10年後

勇者は自我を得た。


勇者「ああ!なんてこと、生まれ落ちた地はた悲しい大地だ…

しかも彼らは理由もなく、殺す。

正さねば、ただしき世の中に!」



5年後

勇者は修行を積んだ。



師範「なぜ魔王を倒したいのだ。」


勇者「決まっている魔王が世界に蔓延る邪悪な魔物を生み出しているからだ。」


師範「なるほどな。根源を立つのか…さすがは勇者の才に溢れたものだ。」


勇者「いや、私に才はない。譲り受けるべくして、師範、あなたから授かったものに過ぎないのだ。」


師範「ああ、嬉しいことを。しかし、師として君を育てられてこれほど幸福なことはない。」



2年後

勇者は仲間を得た



戦士「しかし貴様は存外、力任せに進むものだな。」


勇者「何を言うか。考え進む中に力任せにする場所があるだけだ。」


戦士「言ってくる。ならば、貴様が死に瀕したとき、必ず助けてやろうぞ。」



3日後


仲間を失った。



マモノ「仇をとったぞ!!!!!」




しかし立ち上がった。





勇者「なぜ殺す!!!

これに意味はないだろう!みな、生きているのだ!」




マモノ「貴様に死に理由はない。そこには、私怨しかない!」




二ヶ月前


マモノは家を焼かれた

人間に、勇者に焼かれた。

家族がいた。



マモノ「なぜだ!平穏に。ただ平穏に生きていただけだ!」




2年前


魔王は師範と対峙し

師範は、胸に抱えた爆弾をさせた。

直撃した魔王は、帰らぬものとなった。


師範「わからぬ。なぜ貴様が…貴様という人格が魔王なのだ?」


魔王「それでこの争いが消えるのか…?」


師範「狂っていたのは我々か、それとも貴様か。私の命も、貴様に切り裂かれた肉体から察するにあと少しの猶予もない。最後に聞きたい。私は、新たな奇跡を育てた。聞きたいのだ、貴様ら醜い魔物が生きる世界を守る理由は何か。」


魔物「理由がなくては、守ることはダメなのか。見てくれだけでき貴様らは襲ってきたではないか。それは理由なのか。」


師範「…」




10年前


魔王「非があるから争うのか。武器があるから争うのか。守るべき民がいるから争うのか。権威なのか。誰にもわからぬ。」


マモノ「人間とはやはりうまくいかぬものでしょうか。わかりません。」


魔王「彼らが私たちの領土を侵攻し、マモノを殺戮陵辱する限りは、同じことをするしかあるまい。」


マモノ「いえ、そうではありますが…。」




うえにもどる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

上下から読める勇者と魔王の話 @ikijinohimago

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ