第7話:左遷希望・姒夏佐仲徳視点

 やれ、やれ、ようやく一山超えたな。

 建国王の次は昆孫に生まれ変わるなど、笑わせてくれる。

 今回は何もせずに郡王にでも封じてもらう心算だったのだがな。

 又も一目惚れした女のために頑張ってしまった。

 最後まで詰めを誤まらないようにしないといけない。

 自分の子孫同士で殺し合うなど悪夢でしかない。


「恐れながら申しあげます、皇帝陛下。

 今回は好まぬこととはいえ、皇帝陛下の専権に触れかけてしまいました。

 このような事になった私を中央に止めおくのは危険でございます。

 辺境も辺境、新疆省か西蔵省、あるいは交趾省の郡王に封じてください。

 ただねがいを聞き届けていただけるのなら、姚袁微を妃に迎えさせてください。

 伏してお願い申し上げます」


「自ら進んで辺境への左遷を望むか、仲徳。

 全ては姚袁微を恋しての事か」


「はい、左様でございます、皇帝陛下」


「……そなたには今回の件で期待するところが多いのだがな」


「できるだけ注意は払いましたが、皇帝陛下の専権に触れかけました。

 ここで私を処罰しなければ悪しき前例を作ってしまいます。

 姚孫武は処刑いたしますが、姚袁燿は平民落ちに止めております。

 まして私は兄の妃候補を奪う形になります。

 ここはどうか厳しい処分をお願い申し上げます」


「分かったしばらく待て、新疆省か西蔵省、交趾省のどこかの府王に封してやる。

 姚袁微を妃に迎える事も認めてやる。

 だがいつか中央に呼び戻すかもしれぬ。

 その時は素直に応じるのだぞ」


「ご厚情有難き幸せにございます、皇帝陛下」

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華国後宮物語 克全 @dokatu

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