8−5「帰宅時の指示」
主任と別れ、マンションに帰る途中、スマートフォンに連絡が来ていることに僕は気がついた。
メッセージをみれば、送り主は『エージェント・江戸川』とあり、僕はまさかと思いながらメッセージを開ける。
『よお、さっきはありがとな。単刀直入に言うが、これからお前さんにお使いをお願いしたい。さっき渡した名刺の裏、そこに記入してある番号は、お前さんのロッカーの中にある錠の番号だ。それ以上の指示は中の錠を開けてから確認してくれ…』
僕は江戸川の指示に従い会社に向かうと自分のロッカーの中を開ける。
そこにはメッセージ通り、鍵付きのプライベートボックスが置かれ、開けるとメモのついた一通の手紙が入れられていた。手紙の宛先は「大賀見へ」と書かれており、僕は上に貼られているメモへと目を落とす。
『見つけられたようだな。お前さんに頼みたいのは、その手紙を仕事先の相手に渡してもらうということだ。日付は上に押された消印を見てくれ』
日付を見ると来月の後半。
無くすといけないので、僕は手紙を元のところに戻すことにする。
そして、帰宅途中のマンションの玄関先で一つの人影が見えた。
『…それと、お前さんに一つ聞きたいことがある』
みれば、浴衣姿の少女が非常階段の上で手を振っている。
僕は軽く挨拶をしてから自分の階へと向かった。
『浴衣姿の少女に覚えはあるか?』
僕は江戸川さんのメッセージをもう一度見ると少し考え「ありません」と端的に答え、送信することにした。
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