片思い
@usutya
1話
今日も代わり映えのない憂鬱な日が始まる。
僕は、教室後方の引き戸を気配を消しながら開け、誰にも挨拶をせずに席につく。
「おはよう!」と声がした。
こんな僕に声をかけてくる人は、一人しかいない。
急に声をかけられたこともあって、声のする方に敏感に首を素早く振り向けると、翔が純粋な笑顔でこちらを見ていた。
僕は、翔を見ると、たまらなく嬉しくなる。翔の方へと身体が引き寄せられるように心が動く。もっと近づきたくて、もっと一緒にいたくて。でも、そんな気持ちを悟られないように平然とした素振りで返事をしなくてはいけない。こんなに翔のことを好きなのに、その気持ちを悟られるのがとてつもなく恐い。
「おはよう」と僕はちょっとだけニコっと笑い返事をした。
僕は席に着く。
翔は、僕に挨拶をする前に、教室のムードを何となく楽しくするように、わいわいと話し盛り上がっていた数人のグループの中へと戻っていく。
僕は、そんな翔を見つめながら、もっと仲良くなれたらなと諦めの気持ちでいっぱいだった。
片思い @usutya
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