第7話 Love,

 必死に、声を押し殺した。

 彼女が泣きながら、自分に好きだと伝えた。それだけで、どうしようもなく、泣けてきた。風邪もひいてる。熱もないしだるさもない。ただただ、身体が動かない。

 彼女から見えない角度に顔を向けて、ひたすら、涙だけを流した。


「おやすみなさい」


 彼女の声が聴こえる。


「うう」


 だめだった。


「おやずみなざい」


 彼女がこちらを向いて。にこっと、笑顔。


「うえええ」


 自分は、泣いてしまった。


「おお。よしよし。どしたの?」


 どしたのじゃねえよ。おまえのせいだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

走れ。雨の中を 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る