四 龍の玉

子ども達はすぐに覚えてヒメコに声を合わせ、ドンドンと足を踏みしめて歩いていく。ヒメコは庭を大きく一巡りし、大きな輪を作った。二の姫やアサ姫、佐殿も手招きして手を繋ぎ、輪を大きくしてぐるぐると巡っていく。

でも歌っていくうちに歩調がどんどん速くなり、歌も大きく高く速くなり、しまいには全力での駆けっこになって目が回る。

はぁはぁと息を切らして輪の外側へと抜けだし、目の前を巡っていく輪をぼんやりと眺めたヒメコは、その渦の中心にうっすらと何かが立ち昇るのを視た。トグロを巻く大きな蛇?

いや、焔のように真っ赤な玉を右手に大事に握りしめた黄金色の龍だった。

龍は周りを取り囲み駆け回る子ども達をじっと眺めていたけれど、皆には見えていないようで、変わりなく歌って駆け回っている。


これが祖母が言っていた視るということかとヒミカは識る。

祖母はそういう霊力の持ち主で、他の人には見えない気のようなものを視ることが出来た。ヒミカにも視えるはずだと何度か試されたが、ヒミカはそれらしきものを視ることが出来ずにいた。でも今初めて視ることが出来た。

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