八 よろける
よろけたヒメコの背がドンと何かにぶつかった。
「よけてろ」
見たことのない少年がヒメコの後ろにいて、ついっと横へと指を走らせる。言われるままそちらへと足を踏み出した瞬間、足元を何かが駈け去った。
猫か犬より少し大きいもの。まさか猪?
こわごわ振り返ったヒメコの前で、五郎が大木にしがみついてよじ登っていた。見る間に上りきって枝へと足をかける。器用に枝から枝を伝っていくが、そろそろ細枝。危ないからそろそろ、と言いけた時、五郎はいきなり更に細い蔓のような細枝めがけて飛んだ。
硬直したヒメコの横で誰かが動いた。さっきの少年だ。ホッとしたヒメコの前で
ザザザッと大きな葉がすれの音と共に五郎が落ちてきて緑の茂みの中に落ちた。
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