序
「行くな!」
そう言って下さっていたら、と私は今でも願わずにはいられない。でもあなたはそう言ってくれなかった。そして私は言われたままに素直に従った。
必要なことしか口にしない。いえ、必要なことすら口にしてくれなかったあなたにとって、私は物分かりのいい「都合の良い女」だったのでしょうか。
それでも、あなた方姉弟に心奪われ、添うつもりで歩んでいた筈の道が、気付けば遠く離れ、二度と交わることのない並行な道となっても、私はあなたを想い続けます。慕い続けます。何処に居ても。何をしていても。これが私の天道。それがあなたの天道であるように。
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