サシ族の求愛行動の記録、または言葉の通じない獣人に拾われて溺愛されて結婚する話

作者 くれは

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★★★ Excellent!!!

狼の性質を持つ獣人、サシ族と人間の少女の婚姻までのお話です。

主人公と獣人の「兄さん」は種族が異なる為に言葉を交わすことができません。
けれども、兄さんの表情や動作の描写が丁寧に書かれており、彼が主人公のことをとても大切にしていることが伝わってきます。

世界観が作り込まれているのも見事!
獣人の生活や文化を全く知らない主人公の視点で進んでいるにも関わらず、サシ族の文化が違和感なくスルスルと頭に入ってくる所に作者の手腕を感じます。

ご都合設定は一切抜きにした、これぞまさしくリアルな異種婚譚!
一度は読んでおきたい素敵な作品です。

★★★ Excellent!!!

 異世界転移ファンタジーにおいて、しばしば感じるのが「なんで最初から言葉が通じてるの?」という疑問。本作はこの課題に真っ向から立ち向かった恋愛幻想譚です。

 主人公は自分の過去をほとんど忘れた状態で獣人の一家に拾われ、彼らとともに生活し始めます。元の記憶を思い出すこともなく、見知らぬ文化や姿形の異なる人々に慣れ親しんでいきます。

 主人公は獣人たちの言葉を習得するどころか、発音することすらできません。獣人たちも同様です。この大きなハンディキャップの中では恋愛など育めないように思ってしまいますが、綿密に練り込まれた幻想世界の文化設定がどしんと土台を支え、それを可能にします。

 透明感あふれる文章とともに、ぜひともこのファンタジー短編の良作をご堪能ください。