第14話 農作業者は凄い美女だった

「川ってこんな近くだったの?」

「近くじゃ無いよ王鬼様」

「主様、皆くたくたに疲れて居ます、主様は疲れませんか?」

「ぜんぜん疲れて無いよ」

「流石王鬼様!」

 ネズミ小僧や新人の才鬼は分かるが、戦鬼に走鬼まで座り込んでる。

 そんなに歩いた気がしないのに、皆が座り込んで休むのでしょうがなく辺りを眺めてる。


 辺り一面の畑だ、その広い畑の向こうに川が流れてる。

 農作業してる人がまばらに居て、見える範囲の農作業者は女性のようだ。


「王鬼様?珍しい仲間がいただよ、あれはアイヌソッキだぁよ」

「アイヌソッキとは?聞いた事が無いよ」

「ちょっと呼んでみるだよ、おーーいアイヌソッキやぁーーい!!」

 凄い美女がこっちを向いて、首をかしげて近付いて来た。

「完璧に人に化けてる私の正体見抜いたのは・・・貴女は鬼か?」

「ここだあよ!王鬼様の肩に乗ってるコロボックルだあよ」

 美女は私の肩を仰視してる。

「本当だ!コロボックルがよく生き残って!懐かしい」

「わっちはボッコ、あっちに居るのが亭主のプーク」

「私はアイヌソッキのおさコタン」

「私は王鬼のムーン、アイヌソッキって初めてで、種族は何ですか?」


「あぁ、王鬼様!ソッキは人魚の事だぁよ、コロボックルと一緒ソッキもアイヌの人と共に暮らしてただよ」

「アイヌは神々と共に暮らしていた人々、今は何処かに消えてしまった。

 ボッコさん、トラサンベとアッコロも一緒に居るよ」

「トラサンベが?わっち達以上に良くも無事に!!懐かしい!」

「トラサンベはマリモちゃんオロップ君シコロ君の三人、アッコロはアッコ一人だけ無事でした」



「王鬼様!わっち話に夢中ですまん事です、トラサンベはマリモの妖怪で、アッコロはクラーケンの方が分かり易いだね」

「気にしないで、懐かしい同胞に出会えて良かったね」


「王鬼様方はどちらにお住まいですか?こんな辺鄙な所まで訪問下さって」

「辺鄙って、あそこに見えてる・・・あれ?見えない『はぐれ者の町』って所に住んでいます」


「はぐれ者の町?聞いた事がありません」

「聞いた事が無い?結構近くなのに・・・」

「王鬼様?はぐれ者の町は物凄く遠くだよ」

「?・・・そんなに遠くまで来たの?」

「はい、およそ200㎞は遠出してます、王鬼様全く話す事無く飛ぶ様に走られるので私達必死で追い掛けました」

(皆が必死で追い掛けた?私ってそんな速歩きの能力が有ったの?)


「200㎞ですか、水の都より近いですが水路で無く歩きでは・・・頑張れば3日で着くでしょう!場所を教えてもらえますか?農産物の行商が出来そうです」


場所って、真っ直ぐ来たから「あの方向だよ」

「主様ちょっと違います、方向はあちらになります」

走鬼から、ダメだしされた。

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水晶の里村のムーン 犬時保志 @ysxyz

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