第13話 私って隙だらけ?

 肉は毎朝置かれている。

 食べきれない肉は、戦鬼が干し肉に加工してくれているが、それでも残る肉は肉屋に買い取って貰ってる。

 以前は肉しか食べれなかった才鬼が、反動からか野菜を凄く食べたがる様になった、肉の消費が減った理由だ。


 今日も大量に残った肉を、肉屋に持って行く。

 広い家に、コロボックルのプークとボッコだけ残すのは不安で、いつもは才鬼と走鬼を残して出掛けていたが、今日は出たがらない夫婦を説き伏せて全員で出掛ける事になった。


 戦鬼に走鬼それに才鬼、3人の心強い護衛が必要な理由は、いい加減に近辺調査をしたかったからだ。

 3人の鬼達の話では、完全体の私は戦鬼より強くて走鬼より速く走る事が出来、才鬼より巧みに念動に感能が使えるそうだが、全くそんなきざしが無い、確かに傷は直ぐ治るし疲れる事が無くなったけど、怪我を負うと治るまでは痛い、痛いのは嫌だ。


 いつものようにボッコは私の右肩、プークは左肩に乗り姿を消している。

 肉屋に着いた、肉屋の親父はいつものように肉の確認をし、はかりで重量確認した。

「今日の肉は牛肉100㎏有った、内臓は食ったのか?」

「ああ、食った」

 本当は内臓は取り出され、血抜きされた処理済みの肉がいつも置かれている。

「内臓好きが居てな、いつも催促されていて出来れば内臓を売って欲しい!」

「僕達も内臓は好きで、一番に食ってるが考えて置く」

「出来ればで良い、内臓が食えるのは狩った者の特権だからな、今日は特上肉金貨10枚で買い取る」


 金貨を受け取り、店を出た。

「王鬼様、あの親父、大入道が人に化けてるだぁよ」

「えっ?人間じゃ無いの?」

「主様、知ってると思って居りました、いつも妖気を撒き散らす親父に気付いて無かったのですか?」


「私、妖気を感じた事なんて一度もないよ」

「それは変だよ王鬼様、あぁ!月齢のせい?」

(満月になっても、変わらないって言うと皆にがっかりされる?私って人間だった時と殆ど変わって無い、片角が生えただけの役立たず?)

「たしかに主様は戦鬼や走鬼と違い、隙だらけの所があります、もう少し辺りに注意しながら歩いて下さい」

(才鬼までそんな事思ってたの?隙だらけか、私なりに注意してるつもりなんだけど)

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