番外編 ⓶ バレンタイン〜ブラット達の場合〜

 ブラットは木に寄りかかり、ボーっとしていた。


 するとフェリアが声をかけてきた。


「ブラット。聞きたい事があるのですが」


「聞きたい事って?」


「女性の皆さんは何故、今日チョコレートを男性にあげているのですか?」


 そう言うと後ろで聞いていたサアヤが、


「フェリアはバレンタインを知らないのか?」


「はい、知りませんが。それは、いったい何なのですか?」


「バレンタインとは、女が男にチョコレートを渡して、好きだと告白をするイベントだ!」


「まぁ、そんな素敵なイベントが、人間界にはあるのですね」


「まぁ、俺には無縁だけどなぁ」


 そう言いブラットは空を見上げた。


 するとブラットの手元に小さな箱が2つ落ちてきた。


 ブラットはそれを手に取り見てみると、それはチョコレートだった。


 そしてそのチョコレートの上には手紙が添えてあり、ブラットは声に出して読んでみた。


「親愛なるブラットへ。母より。そしてもう一つはガルドに渡してね。……って、俺って……てか自分で渡せよぉーーー!?」


 とブラットは、目に涙を浮かべながら叫んだ。




 そしてここはガルドの家。


 ガルドは自室でのんびりしていた。だが何か騒がしいのに気がつき台所に向かった。


 するとそこにはひたすら何かを作っているビスカがいた。


「お前いったい何をしている?」


 ガルドがそう言うと、ビスカは満面の笑みで、


「ふふーん!決まってるでしょ。今ね、ガルドの、チョコレートを作っているんだよ!」


「はあ?お前が料理……それもチョコレートを作っている」


 ガルドは腕を組み考えながら、


「……って、待て!作るのはいいが。チョコレート以外なにも、そこに入ってねぇだろうなぁ?」


「いやだな〜。本の通り作っているから大丈夫だよー。ね、ほら!」


 そう言いビスカは、ガルドに本を見せた。


 その本には【彼を射止める為のチョコレート魔法レシピ】と書いてあり、それを見たガルドは、


「ビスカお前、悪いが俺はそれぜっーーーーてぇ食わねぇからなーーーー!?」


「え〜何でぇ〜、せっかく作ってるのにぃ。もう照れてるんでしょ!マイダーリン♪♡」


 そう言われガルドは背筋にゾワっと寒気がはしり、


「ビ、ビスカ!いいから、ここから出て行け〜!!それにそれだけは絶対もう言うなぁーーー!!!!!」


「え〜やだぁ。絶対に、あたしは作るからねぇ」


「ビスカ。分かった。……てか疲れた。ここは俺が片づけておく。頼むから出て行ってくれ……」


 そう言いながらガルドは頭を抱えた。


「……ガルド。ごめん、でもあたしつくる」


「ダメだ作るな!」


「ヤダつくる!」


 と2人が言いあいをしていると何か臭ってきた。


 ガルドとビスカは臭っている方を見てみると鍋が焦げていた。


 ガルドは慌てて火を止めたが、チョコレートは見事に焦げてしまっていた。


「あーあ!せっかく作っていたのにぃ〜」


 そう言うとガルドは、ホッとしたように、


「まあ気持ちだけって事でいいんじゃねぇのか」


 ガルドがそう言ったものだからビスカは、


「うん、そうだね。ガルドやっぱり大、大好きぃ〜」


 そう言いビスカは抱きつこうとしたが、ガルドはそれを避けた。


 そしてビスカは避けられ、まともに顔を床に強打した。


 ビスカは顔をさすりながら、


「……いたたたた。あは、はぁ……でも絶対に、あたしは諦めないからね!」


 そう言われガルドは溜息をつき、


「ハァ、勝手にしろ!俺は疲れた……」


 そう言いガルドは片づけをすませ、何とかビスカを家から追い出した。


「……やっぱりアイツのノリには、ついて行けねぇ」


 と呟きながら自分の部屋に入って行った。

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【短編】旧異世界勇者の子孫達の陰謀と新異世界勇者達!! AND 神々との契約と運命の歯車!!〜バレンタイン番外編〜 ※内容は本編との関連なし※ ミケネコ ミイミ♪ @myimi

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