第68話 最終回王女アネエサはどこに?

 アネエサ様が、白く輝き消えた瞬間を見ていた者は、数十いや百人以上は居たと思われます。


「「「アネエサ様が消えた?!」」」

 辺りは理解出来ない現象に静まり、静寂は伝染して行きました。




 暫くして会場じゅう、蜂の巣をつついた様な騒ぎになります。

「目!!耳!!アネエサ様を探せ!!」


「サヨ様!国中見渡しましたが、アネエサ様は見えません!!」

「サヨ様!アネエサ様の声が、全く聞こえません!!」


「引き続き探せぇ!!見付かるまで探せぇ!!!」


「アネエサ様は何処かに転移されてる!!手分けして探し出せぇ!!!」


 私は半狂乱状態に陥り、ただ騒ぐだけでした。






「アネエサ様は···何処かで···必ず生きてる!!誰でも良い···探してよぅ~~見付けてよぅ~~ひっく···うっうっ、ふぇーーーーん」


 3メートルの巨人が、子供の様に泣き崩れても、笑う者は一人も居ませんでした。








 あの少女、処刑されたキンキラ元領主の末娘で、単独犯でした。

 処刑の時も「父と兄の仇思い知ったか!!」と叫んで居ました。




 国中、大陸中の捜査が、虚しい結果に終わり、アネエサ様が、かつて話されて居た、他の大陸の可能性を鑑み、飛行能力の優れた者達に新大陸探査にも向かわせました。


 新大陸が発見され、大陸全土をアネエサ王国の植民地に加えましたが、新大陸中の捜査にも関わらず、アネエサ様は見付かりませんでした。

 未開の原住民は、空を飛び不思議な力の私達を、神の様に崇めます、タロウ達やアリタ達、それにカツ達オーク隊、強面こわもて達が統治する事になりました。




 気休め?確かにそうかも知れません。

 私サヨは、アネエサ様の出来る事は、全て吸収出来て居ます、でも、転移は出来ません、おそらくアネエサ様も出来ないはずです。





「アネエサ様は、神の国に帰られた!!!

 これからは、私達に出来る事を頑張り、アネエサ様の王国を発展させて行きましょう!!!」



 諦め半分に、私は国中に告知しました。


 新女王に皆が押上ようとして居ますが、断っています。

「女王代理でも良いから!サヨ様!」

「女王はアネエサ様!私は側近で良い!」


 いつかアネエサ様は、再び降臨される!!

 我が儘拘りですが、女王側近と言う役職のまま、国政を執り行う事になりました。


















 50年があっと言う間に過ぎ去りました。

 アネエサ様が、育てて下さった私達は、変化老化は殆どありません。







「アネエサ様!見て!!絵を描いて指導されてた、蒸気機関車に試乗してますよ!!私頑張ってるよ!!」


「「「「「「お手伝い少女隊も乗ってるよ!アネエサ様ぁ!!!」」」」」」


 アネエサ様に届け!!

 空に向かって叫びます。


 全国津々浦々まで敷き詰められた、鉄道馬車の線路を利用して居るため、今後機関車を量産すれば、流通の革命になります。




 衣紋掛けに掛けられた、アネエサ様の革のワンピースにポーチ、眺めながら今日も一日の報告をして居ます。


「獣の革を何重にも貼り合わせた、タイヤの完成で三輪木炭車始動しました」


「湖州稲作、稲の病気、薬の噴霧で元気に育っています」


 また建国際の時の、誇らしげ満足げに微笑む、アネエサ様を思い出します。




「·····アネエサ様、肩に乗って下さいよ!50年は長過ぎです!私···寂しいよぅ!!!」
















 王都中央の、城に付随する様に、神殿が建って居ます。

 女神アネエサと魔神アネエサを祀る、アネエサ教の本殿です。

 神官は5人の使徒が務めて居ます。


 少年少女だった耳と目も、大人にはなって居ますが、60才には見えません、声と盾剣も80才には見えず、5人は共に30歳位の若さを保って居ます。


 アネエサ教では、容姿の変わらない神官も密かに信仰対象になって居ます。



 今朝も日常の祈りが始まりました。

 何時もと変わらぬ祈りのはずが、5人は聞き覚えのある呼び掛けに驚きました。


[[[何時まで気付かずに居るか!!アネエサは私がポーチに避難させた!!ポーチの中は殆ど時間が経たぬが、今アネエサの傷が癒えた確認せよ]]]


「「「「「ナイデハラン様!言って貰わないと解りませんよ!!!」」」」」


[[[そうか?今神託したぞ?それで良かろう!!会いに行け!]]]









「「「「「サヨ様ぁ大変です!!」」」」」







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 赤ちゃんアネエサ建国記、最終回です。

 今まで、ご愛読有り難う御座いました。

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赤ちゃんアネエサ建国記 犬時保志 @ysxyz

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