甘酸っぱくて残酷な、ひと夏の冒険

自分がカクヨムから離れていたため、しばし時間が空いてしまいましたが読了しました!
家を追い出された主人公の少年が飛び降り自殺で海に身を投げ、不思議な力を持つ少女に命を救われる場面から始まるこのお話。
ボーイミーツガール、宝を探して島を巡る冒険、主人公の成長、仲間との確執と和解、明かされる残酷な真実、そして少年の選択——冒険ファンタジー(ジャンルは恋愛ですがあえてファンタジーと呼ばせていただきます)の醍醐味と言える要素が詰め込まれた素晴らしい物語でした。
特に終盤から加速度的に面白くなってきた印象です。その盛り上がりも、じっくり積み重ねてきた旅路があってのことだと思います。
それからなんと言っても、冒険の舞台が最高に良かったです。美しい海と独自の文化が根付く島々、けれど美しさの裏側で恐ろしい秘密が隠されている。“島”という開放感と閉塞感が混在する特殊な環境がうまく表現されていました。
ラストは、私が昔読んだ小説で同じような展開があり、その時は迷うことなく清史君と同じことを思ったのですが、歳を重ねた今この選択を突きつけられると、その答えは選べないと考えてしまいました。これが大人になるということなのか…
だからこそ、青臭い選択をした清史君が輝いて見えました。
遅くなりましたが、完結お疲れ様でした。次回作も期待しています!

追伸:
誕生日おめでとうございます。

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