第3 外泊
その翌日
太陽の光が瞼に突き刺さり
眩い光を感じた。「うっ、うーん」
目を擦りながら 大きく背伸びをした。
あれ、なんか、見慣れない物があるな。
1番初めに周りに違和感を感じた。
見覚えのないものばかり
「夢かも?そうきっと夢なんだわ。」と独り言のようにブツブツ
自分に言い聞かせると、布団を被る
「痛っ」
頭の奥が締め付けられるような痛みが 私を襲った。
えっ?!夢じゃない?を跳ね除けベッドから、降りた。と、その時
「君は、にぎやかだね」と、整った顔にストライプのエプロンをした男が、少し離れた場所から微笑む?!
えっ!! こいつ、誰・・・。!!!!!!!!
「おはよー。この男誰って顔してるよね。一夜を共に過ごしておきながら、忘れちゃったわけ?」
「え、えっー。」思わず首から、下を見回す。
面接に行くために買ったレースの大人びたランジェリーが、丸見えだ。「きゃ~、あっあっち向いてて。」
「はい、はい。別に、深い仲になったんだから気兼ねなしで、いいから」
急いで、脱いであったワンピースやストッキングを着ながら、思考をはたらかせる。(じ、冗談じゃない。うっ、頭が痛い。き、昨日は思い出すんだ。あれから・・・。もしかして、外泊?! 携帯。電話しなきゃ。
「もう、いいかい。もしかして、これ探してる?」携帯を、持つ手をひらひらさせながら振りかえる。
「なんで、あんたが私の携帯持っているのよ」
「新しい彼氏だからです」
目が点になるってたとえ、今わかった。
なんか変なのと、かかわったかも。ここは、無視して、素早く逃げ出そう。「携帯返して。私、帰らなきゃ。」
〇〇車の後部座席に乗って、私と涼介の名ばかりのマンションに向かってる。
携帯を返す代わりに、ちゃんと送りとどけたいと言われたから。
私の携帯は、充電切れ。真っ黒な画面が、私の心境にシンクロしている。
「悠里ちゃん、昨日の威勢はどうしたの?」この人は何者?高そうな車に乗っていて、慌てて出てきた部屋も私達とは、明らかに生活レベルが違う。
面接に行くはずだったのに、なんでこの人についていったのか? お酒飲んだのか?外泊に、なったのか?
まだ、まともな思考が出来ない。それでも、見慣れた景色が、日常を呼びおこす。タクシーの運転手に、言うように細かな道案内をして家の前についてから、もっと遠くで降ろしてもらえばよかったと気づく。
涼介には、なんと言えばいいのか。階段を、2階まで登って、部屋の前まで来てもしばらくは中に入れない。「ええーい」勢いでドアを、開けると玄関先の真っ赤なヒールが目につく。
ちょっとの間、動けなくなったとき。部屋の奥から、パンツだけ履いた涼介が出てきた。私を見るなり「お前、面接すっぽかして今までどこにいたんだ。」と、怒りが顔に表れる。
が、「何やってるのー、早く来てぇ」と、若い女の声で、「ち、ちょっと、まってろ。お前が、悪いんだからなー」と、奥の部屋に言ってしまった。
(ふふっ、なんだぁ。私の事なんてちっとも心配してなかったんだあ。馬鹿みたい)涙が溢れ出した。
それと、同時にドアを開けてゆっくり階段を降りた。部屋では、痴話喧嘩が始まっていて、私の事なんて構っている暇はなさそう。
何年一緒にいたんだっけ。
最後の階段を降り切った時に、優しく抱き寄せられた。(あぁ、この人まだいたんだ。この人の事何も知らないのに・・・なぜか、とても安心できる)
都会の街 クースケ @kusuk
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