第8話

「ヨナキ。弁護士先生の具合はどうだい?」


「あら。お花を持って来てくれたのね。丁度いいわ。彼の話相手になって頂戴。婚約者から別れを告げられて彼凄く落ち込んでいたの」


「いや。彼の事情聴取はもちろんするが。それより今度食事に」


「ちょっと失礼。電話だわ」


 夜鳴は携帯を取った。


「はい。こちら夜鳴。あらヒメ。お久しぶり。何かトラブル?そちらで奇妙な感染症?可能であればすぐに来て欲しい。了解したわ」


 夜鳴は携帯を切った。


「ブラッド。弁護士先生のお部屋はこの上の305室。私はちょっと海外に行くわ」


「海外?!なんでまた急にっ!!?」


「1881年と違って今の時代は航空機が世界中を飛び回っているのよ。中国で発生した疫病がその月のうちにアメリカで大流行してイギリスやブラジルで変異を起こして翌年また中国に逆輸入されるような時代なの。伝染病が発生したらその地域に行って対応策を講じるのが普通。じゃあまた。戻ったら連絡するわ」


 ブラッドにそう告げると夜鳴は休暇申請を出す為に事務局に向かった。


「病室の弁護士先生は僕の相談は乗って貰えそうにないなあ・・・」


 ブラッドフォード警部は花束を抱えたまま病室に向かった。

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現代地球アメリカが舞台で魔法もチートも出てこない話 虹色水晶 @simurugu

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