空より

 あの感動を作品に変える事ができる、と過信して書いた手紙は小説にはなりませんでした。

 空の器の私には、きっと才能はないのでしょう。内から芽を出す物はなく、天の恵みに頼るばかりです。


 雨は天の恵みと言うそうです。雨粒の大きさは何で決まるかご存知ですか。核となる物の大きさで雨粒の大きさは決まるのです。空に舞う塵芥。それに水がまとわりついて、雨になって落ちてきます。

 だからでしょうか。雨の匂いが好きなのです。澄んだ空気に匂いは無いと人は言いますが、雨の匂いはあると思うのです。


 雨の話ばかり語るのは、晴れが苦手だからなのかもしれません。青く澄んだあの空は、遠く見つめて泣いた日を思い出します。

 空の青さを知る人よ。なんて諺があるけれど、あの青さは見たくはないと、今でも思います。

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拝啓、アンブレラ あきかん @Gomibako

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