拝啓、アンブレラ

あきかん

アンブレラへ

 拝啓、アンブレラ


 執筆の才能があるかないかで苦悩しているあなたの姿は素敵です。これは私の業なので、深くとらえられると困るので、直接あなたに手渡す事は致しません。


 嵐は、苺の味がした。


 この一文を読んだ時に電撃が走りました。これは凄い物語が始まるのだな、と。読み進めるとそれ以上の感動がありました。あぁ、これは才能だろう。もしかしたら、この作品だけにもたらされたギフテッドなのかもしれない、とは思いつつも。


 止まない雨はない、と言うつもりはありません。雨が降ろうと傘をさす必要はないのです。雨の日の空を見上げた事はありますか。雨が目に染みるその行為は無駄の極みで、雨に濡れて、風邪はひき、良いことなんてありません。

 見上げたところで曇り空です。雲天は歪んでみえます。雨のせいなのか、その時の心情がそう見せたのか。今はもう思い返せません。


 雨に唄えば、なんて気持ちにはなれなかったな。と、そんな気持ちを思いだしたので、この手紙を書きました。


敬具

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