第37話 汲む想い



いつもの夜




月灯は薄く、肌寒い。

この間は、擬態の大物を相手して疲れたからな

今日は、バイトはサボろう。



静かな夜



暗い闇の中から、壬屋子が現れる。あの一件以降会ってなかったが、まだ、穢裁刀は持っているみたいだ。


「辞めないんだな」


四冥は声をかける。



「正直、迷ってる」



疲れた顔で四冥の横に腰掛ける。


壬屋子には『擬態』の事は話した。どうして夜守という組織はそれを教えてくれなかったのか?そんな不信も募った。


「でもまぁ、冷静に考えると、仲間内に『穢れ』が紛れ込んでるなんて、新米に教えるメリット無いか・・・」



・・・



再び沈黙の時間が続く。



「私が一番ショックを受けたのは、先輩が穢れになった事やあんたに殺された事よりも・・・あれが本物の先輩だった事かな」



あの優しかった先輩が実はあんな酷い人だったなんて・・・



「あれは擬態だ・・・本人の複写物であって、本人じゃ無い」



「でも」



「心の中で何を考えるかは自由だ・・・だが、そいつは死ぬまでその本性を隠し続けたんだろ?・・・じゃああれは、偽物なんだよ」




「・・・そっか、そうかもね」



壬屋子は少し安堵した声を出し、しばらくの後、再び闇夜に消えていった。








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【米読み】の力を持つ 祓い屋 の成り上がり @haidoroponnpu

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