第36話 六畳家
笠峰誠司は相手を見据える。
今、戦っている相手は、祓い屋の中でも実力者と名高い『六畳家の弟子』だ。
だが、全く負ける気はしない。
たとえ、相手がどれほどの実力者で、『最強』を名乗ろうが、今の自分はそいつらを、『軽く噛み砕く』だけの力を持っている、そう確信できる。
俺は無敵ィ!!!
そう心の底から実感できる。
これも生きていた頃には感じる事が出来なかった気持ちだ。
それに『あの人』も言っていた。
「もし六畳の弟子と戦う事になったら?・・・あはは、大丈夫大丈夫・・・誠司君が敗ける事は100%無いよ」
理由?
「私が『弟君』を全く知らないから・・・かな?」
つまりね、六畳家の剣術はそう簡単に身につける事ができないって事・・・
『己起』にビビる必要も無い、ただの一般人が刀振り回してる、そんな認識で十分だよ。
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六畳の弟子は、一段下がった開けた場所に居る。
距離と上を取っている。
場所の優位は自分にある。
相手は呆けた顔、だらんと力は抜け、戦う気なんて無いようにさえ、見える。
一歩一歩
ぼんやり歩いて距離を詰めてくる。
舐めているのか?
いつでも殺せそうだ。
油断を誘うフェイントか?
笠峰は十分引き付けて、絶対に外さない距離で、飛ぶ斬撃を放つ。
ギカン!!
着弾の瞬間、刀の鍔元でそれを弾く。
(こちらが狙う場所もわからない、一瞬でも判断が遅れれば、首が飛ぶぞ・・・)
そんな事を考えた瞬間
相手は一気に距離を詰め、追撃の斬撃を回避しながら一気に駆け上がってくる。
「く・・・」
刀の間合いに入った。
そして、奴はまた、その場で止まる。
・・・
後ろに飛んで、距離を取り、自分の得意な間合いを取る。そんなセオリー通りの所作を取るべきだった。だが、目の前の相手はあまりに無防備過ぎる。
「お、おらぁああん!!」
相手の胸に穢裁刀を突き立てようとした。
その瞬間、
景色が宙を舞った。
数秒後、自分が首を斬られたと自覚した。
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