座高が高い

 題名からもう恥ずかしい。いや、別に恥ずかしがることはないのだ。座高が高いのは「あたし、ちょっと足の指が長いんだー」程度のことであるのだとわかってる。(え、そうだよね?)ただ、座高が高いのは本当にびみょーに私のコンプレックスの一部になりかけみたいな位置にいる。まさに、微妙ではなく、びみょーと表記したい感じだ。

 電車に母と並んで乗ると、向かいの車窓に自分たちが座っている姿が見える。母と私の身長はもうほぼ同じであるにも関わらず、座ると「あれ? 私なんか背高くない?」と錯覚する。錯覚だと思うことにする。そうでもしねえとやってらんねえよマジで。

 最近一つ気づいたこと。私は現在、吹奏楽部に所属している。そこで毎日「下手の横好き」を体現するかのごとくびーびー吹いているわけだが、楽器を吹く際、どうにも正しい姿勢をとりずらい。自分が吹きやすいような高さに楽器の吹き口を持ってくると、同じ楽器の人となんかちょっと違うよねというような構え方になる。座奏ならまだいい。問題は立奏である。座奏の時と同じ感じで吹けないのだ。なぜ? 姿勢がうまくいっている時といない時、ただでさえ下手なのに姿勢によって音にムラがありすぎる。ずっとそれが謎だった。たった今謎が解けた。これ、座高が高いからじゃね?

 このように座高の影響というのは恐ろしい。そういえば私が小学校に入学したあたりまでは身体測定で座高を測っていたのだが、近年は「これ、意味ないよね」ってなもんで廃止されたらしい。確かに意味はないだろう。座った時の身長なんてどうでもいい。ただ、被害はけっこう大きい。座高について悩んだことのない恵まれた者たちは、私の存在を深く胸に刻んでいただきたいものである。

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ハツイナビカリとその暮らし 終電 @syu-den

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