モチツキ

@toron999

モチツキ



おい、翔吉。

今年はおめえが杵握ってみるかい?


突然の親方からの提案

夕食の途中で急に言い出すものだからびっくりしてむせちまった


、、っげほっ、、、

もちろんっす!ありがとうございます!

おかみさん、明日はお願いします!


むせながらなんとか言葉を捻り出す


ふふふ、ほらお水だよ

しっかりしてくれよ。


笑うおかみさん


そして次の日、

親方は町内会で緊急に呼び出され

餅つきは勝手に始めといてくれと言われた



さあ、餅つきの時間だ。

なんでもないことなのに、

憧れていた光景なのに、

緊張する。体が動かない。


ほら、しっかりおし!

あんたが頼りだよ!


そう言われ少し緊張が途切れ、深呼吸をする

もう大丈夫だ。さあ、始めよう


はい!はい!はい!

掛け声と共に杵を動かす

最初はきつかったがだんだん無心で触れるよになってきた

いわゆるランナーズハイってやつだ


はい!はい!はい!

急にもちが硬く感じる

自分の杵を振るスピードが遅く冷えてきてしまったのか

俺はより無心に杵を振る


どれだけ時間が経ったか、

杵から伝わるもちの感触も変化しなくなってきた

そろそろいいだろう

杵をおきもちをみる


そこには赤黒いもちができていた

もちの量も明らかに最初より増えている

おかみさんが途中で何か足したのか、

だがそれを聞こうにも

そこにおかみさんの姿はなかった


大晦日の夜、俺は町を出て

一つのロープ共にと山に出かける。

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