第5話 涙のゆくえ
みんなは泣いたこと、あるでしょ?
このおはなしは そんなみんなのためのおはなしです。
なっちゃんはとっても泣き虫さん。
みんなはどうかな?
どんな時に泣くのかな?
なっちゃんはね、
ちょっと転んでも泣いちゃって、
ちょっとさみしい事があっても泣いちゃって、
たくさん嬉しい事があっても泣いちゃって・・・
とにかく、たくさんたくさん泣いてたの。
ある日、なっちゃんにおじさんがこう聞いて来たの。
「涙って、何処に行くか知ってるかい?」
「ハンカチの中!」
なっちゃんたらこんな風に答えたのよ。
おじさんは大笑い!そしてね・・・
「涙はお空に行くんだよ」
って教えてくれたの。
「お空?」
なっちゃんは『うそだぁ~』って思っていました。
「お空からは雨が降って来るよね?あの雨はみんなの涙が集まってお空の雲が持ちきれなくなって、落っことしちゃったものなんだよ」
おじさんの話は続きます。
「雨がたくさん降る時は、たくさんの人が泣いた時。
雨があまり降らない時は、みんながたくさん笑っている時。信じられないかもしれないけど、本当の話なんだよ」
なっちゃんはおじさんの話を聞きながら思いました。
そう言えば、昨日も今日も泣いちゃった・・・明日も泣いたら雨が降って来ちゃうかなぁ?って。
そして次の日。
なっちゃんは公園で遊んでいて転んじゃったの。
いつものように泣いちゃったの。
そしたらね・・・
急に空が暗くなって雨がポツン、ポツンって降り出したの。
なっちゃんは慌てて涙を拭きました。そしたらね・・・
降り出した雨がすこし少なくなって来たの。
「あのおじさんの話は本当だったんだ!」
なっちゃんはそう思いました。
その日からなっちゃんはあまり泣かなくなったんだよ。
そしていつも笑っていると幸せな気持ちになれるって事も覚えたの。
そう言えば、あのおじさんって誰だったんだろう?
真っ白なおひげがまるで雲みたいだったけど・・・
もしかして、雲の妖精さん?!
みんなはどうかな?
このおはなし、本当かなぁ?って思う?
嘘だと思ったら、ちょっと泣きたくなった時にぐっと我慢して笑ってみて。そのあと、お空を見てみて。
きっとお空も笑ってくれるよ。
もしもね・・・
あなたが笑っているのに、お空が泣いちゃっていたら、誰かが泣いちゃってるってことだよ。近くで誰かが泣いちゃっていたら、このおはなしを教えてあげてね。
やさしい気持ちになれたら… あかり紀子 @akari_kiko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます