49.師匠を探そう
「なーるほどね、そういうことか」
「そういうことです、ルチアさん」
マーシャ達から師匠になって欲しい経緯を聞いたルチアは腕組みをしながら考え、そして嬉しそうに言った。
「いいよ、なんか面白そうだし」
「ホントですか!? さすがルチアさん!」
「よせ、褒めても出るのは飴くらいなもんだ」
そう言い、ルチアはどこから取り出したのか渦巻いている飴を出し、5人与えた。
その飴を舐めながら、マーシャは聞いた。
「そういえば皆は何を習うの? あたしはもちろん体術だけど」
「私はナイフを」
「アタシ護身術習いたい!」
「わたしは……銃ですかね」
「私、剣習おっかなー」
「じゃあ、弟子は……クロエだけか。ナイフならセレネだし、剣はクレセ、体術は……」
「どうしたんですか? ルチアさん」
「言いたくない……」
この一言で体術担当が誰だが5人は悟った。ルチアは毎日のようにミスティに絞められており、完全にトラウマになっていた。すっかり意気消沈したルチアに5人は思い思いに慰める。
「でも、ルチア様ってカッコいいですよね」
「全女子の憧れですよね!」
「大丈夫です、その内ミスティさんも態度が軟化しますよ」
「私、ルチアさんに密かに憧れてて……」
「私、こんな人が師匠なんて嬉しい!」
「やっだ~~! 皆嬉しいわ!」
それぞれ違うタイプの可愛い女子に褒められ、ルチアはすぐに機嫌が戻った。それを見た5人は何時ぞやショコラに渡された『ルチアの取り扱い説明書』を思い出し、心の中で(このチョロさでよく三大魔女になったな)と思った。
「でも、ルチア様、弟子はクロエ様ですけど、手は出してはいけませんよ?」
「? なんで?」
「セレネさんはクロエ様のことを溺愛しておりますし、手を出されるとなれば烈火の如く怒ることが容易に想像できます」
「多分ですけど、ルチア様が洗脳魔法を使っても心の底まで染めることは無理かと」
「……マジで?」
「マジです」
「……そう」
あわよくばクロエを口説こうかと思っていたルチアだったが、その目論見はかくも儚く打ち砕かれる。全員、セレネがクロエのことを大事にしすぎていることは知っていたため、厳重に釘を刺すことにしたのだ。
このあと、弟子達は各々分かれて、習いたいものの師のところに行くことにした。
「え? 私から短刀術を習いたいと?」
「はい、セレネさんの様に護衛も出来るようになりたいのです」
「分かりました。それでは教えいたしましょう」
「幽霊から学ぶ事なんてないと思うけど……」
「でも、ミスティさん、かなり強いですよね」
「ルチアさんを華麗に絞めていますし」
「そうね……アレは浮気するからであって、何も身を守るためじゃないのよ?」
「でも、そこをなんとか!」
「う~~ん……そこまで言われたら仕方ないわね……でもビシバシいくわよ!」
「はい!」
「え? あたいから剣を習いたいって?」
「うん。前、ダンジョンに行ったでしょその時の剣捌きに惚れちゃって」
「別にいいぞ! でも条件がある!」
「何ですか!?」
「お前の師匠の強さの秘訣も教えてくれよな! あたいは何としてでもハルに勝つんだ!」
「分かりました!」
こうして、5人の魔法以外の技能を身につける修行が始まった。
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