第十一章「弟子達の新たなる可能性」
48.前線に憧れる少女達
マーシャ達弟子3人は今日も今日とて実演修行を終えると図書館に行き、与えられた課題本を読んでいた。
3人は師匠であるハルに魔導書を読んで学ぶのもいいことだと言われてかなりの量の魔道書を読み込んでおり、同世代から見たら恐らく右に出る者はいないと言われるほどの実力を持っている。
普段はショコラかハルのどちらかの監視の目があるからか、真面目魔道書を読む3人だが、今日はどちらもいないことをいいことに魔道書では無くとある小説を読んでいた。
「相変わらずうちの師匠は凄いわ! こんな面白い本を書けるなんて!」
「ええ、なんだかワクワクしてきます」
「そうよね、この本に登場する『けんぽー』とか『しょっとがん』とかカッコいいわよねー」
「はぁ~~素敵だわ~~」
3人が読んでいるのはいわゆるファンタジーもの。数ヶ月前からヒット作をバンバン生み出しているハルがまた新たに書き出したシリーズである。
内容としては少女が格闘技や銃、短剣を駆使して戦うものだが、その主人公のかっこよさ及び展開の熱さに今若い世代に人気沸騰中だ。
「でも何かいいわよね、こういうので戦うって」
「魔法もカッコいいけどさ、なんて言うか他の物も極めたいよね」
「うんうん」
この前のダンジョン試運転でクレセの剣裁きを間近で見ていた3人はそのかっこよさに憧れを抱いていた。魔法で後ろから攻撃するのもいいが、前線で戦いたい願望があったのだ。
すると、そこにとある人物がやって来た。
「ショコラ様、お茶……あら、マーシャ様達だけですか?」
「うん、ショコラ師匠はなんかルチアさん連れてどっか行っちゃったし、ハル師匠は自室に籠もってる」
「大方執筆作業に追われてますね……」
「ルビィさん達はなぜこちらに?」
「仕事もひと段落したし、なんか読もうかと思いまして」
「で、ここに来たわけです!」
「ところで皆様何をお話ししていたのですか?」
「あー、この前私達ダンジョンの試運転行ったじゃ無いですか」
「その時にクレセさんの見事な剣術に惚れまして!」
「あと、この本の主人公の戦い方に惚れ込みまして!」
「前線で戦ってみたいと思ったわけですよ!」
「分かる! アタシもね、セレネさんの様にナイフ投げて戦いたーい! あとこの本に出てくる女の子皆カッコいいよね!」
と、熱く語り出した4人を横目にルビィはとあることを考えていた。そして、とあることを言った。
「確かに戦闘力を身につけるのはいいことですよね。私も何か護身術を身につけたいと思っていましたし。でも、師匠は誰が……?」
「ナイフ投げはセレネさんがいいとして体術とか銃とかは専門の人がいないと……」
うーん……と悩み出した5人。ここでマーシャがとんでもないことを言い出した。
「やっぱり、ハル師匠に……」
「マーシャ様、さすがにそれはマズいかと」
「読書時間減らされるのがハル様何より嫌いだからね……」
「でも、これ以上ショコラ様に迷惑は……」
そんな折、また図書館に来た人物がいた。
「まーったく……ショコラもミスティも何であんなに執念深いんだろ、困っちまうよね」
「ルチアさん!?」
「ルチア様!? それは一体……?」
恐らくショコラとミスティの2人から逃げてきたルチアに全員の目が釘付けになった。ルチアの右手には銃が握ってあったのだ。
それを見たマーシャはは嬉しそうにルチアに言った。
「ルチア様、私たちの師匠になってくれませんか!?」
「いや、何の!?」
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