45.試運転開始
その日の夜ダンジョン作りに勤しんでいたショコラ達はボロボロになりながら帰ってきた。
その変わりようにルビィ達メイドは驚いた。
「お帰りなさいませ、ショコラさ……一体何をどうすればそんなボロボロになるのですか!?」
「これには海よりも深い事情ってもんがあるのよ……」
「全く……ショコラは乱暴だなぁ」
「幽霊に物理ダメージ通るの初めて見たわ……」
「いっててて……」
「はぁ、何があったか存じ上げませんけど皆さん早めにお風呂には入ってくださいね」
「はーーい……」
4人はとぼとぼ歩きながら浴室の方に向かう。その様子を見たルビィは(幽霊ってお風呂入るのね……)と半ば感心しながら見ていたのであった。
その後、入浴と夕食を済ませ、ショコラ達はクレセや弟子達を図書館に呼んだ。そして、咳払いをして慎重に話した。
「さて、遅くに集まって貰ってごめんな。今日呼んだのはオマエらにやって欲しい事があってな」
「やって欲しいことですか?」
「そうだ」
弟子達4人は首をかしげたり、怪訝な顔をしたりと様々な反応をした。ショコラはそんな彼女達にとある地図を見せた。
「私達がこの数日間ダンジョンを作ってたのは知ってるよな」
「今知った」
「気づいてなかったのか……」
「……まぁさておき、そのダンジョンがちゃんと起動するかどうか確認して欲しいんだよ」
「え、師匠達が行かないんですか?」
「私達が行くと簡単に攻略できてな」
「本音は?」
「アイツらと行くとツッコミが面倒くさくなる」
「悪かったですね、ボケ要員で」
思わず漏らしたショコラの本音に思わず生暖かい目線を送る弟子達。その目線にいたたまれなくなったのか、ショコラは続けた。
「もちろん、ただでとは言わないよ。あくまで試運転だし、できる限りのサポートはしていくつもりだ」
「ダンジョンの道案内とかは遠くからやっていくし、回復ポーションもたくさん持ってていいわ。ただで」
「あと、ここだけの話で宝の奥深くで凄い財宝見つけてな、それ持って帰っていいから」
「ホントですか!?」
超がつくほど破格の対応され、4人は飛びついた。準備期間も含めてそこから1週間後に試運転をすることにしたのだ。
「ところで、ダンジョンって製作許可いる物なの?」
「一応必要だけどなんか私は試運転の権限も全て任されたみたい」
「……そう」
話し合いから1週間後、転移魔法でダンジョンへと足を踏み入れた4人は期待と好奇心そして少しの不安を抱き、ダンジョンの入り口に立った。
「おー、ここか」
「なんか、凄く楽しみですね……」
「ちょっとゾクゾクしてきました……」
「じゃあ行きますか」
「通信装置の電源入れたよー」
4人はダンジョンに踏み入れた。
『こちら、ショコラ聞こえてるか?』
「はい、ショコラ師匠バッチリです」
『オッケーマーシャ。じゃあミスティ、そろそろ起動してくれないか?』
『了解、えっと……魔石に力をこめてと……』
ミスティが魔石に力をこめた瞬間、ダンジョンがゴゴゴ……と地響きをならし揺れ始めた。
その揺れように驚いた4人だったが、すぐに終わり、安堵する。しかし、目の前にモンスターが表れ、すぐに戦闘態勢に入った。
『とー、早速来たな……っておいあれほど幽霊系は少なくしろって言ったよなミスティ、話を聞け』
『でもスライムだったり、ミニゴレームですよ?』
『誰が、その幽霊を持って来いって言ったんだ!?』
『あ、倒した』
『うん、彼女らの実力ならまぁ……と思ったけどさぁ……』
ミスティに説教をしている間に4人は楽々幽霊達を倒していた。
しかし、その後もモンスターは出てきたが、なぜか幽霊やアンデッドだらけで疑問に思ったマーシャ達は安全なところに避難してショコラに相談した。
「あの……ショコラ師匠」
『言いたいことは分かってる。幽霊ばっかって言いたいんだろ?』
「おっしゃるとおりで……」
「第一階層から五階層まで来たけど40体中全部幽霊かアンデッドなんだけど……」
『ごめんな、さっきミスティにちょっと説教したけどモンスターの調整ちゃんとしとくわ』
「あ……はい……」
そこで一回会話を止め、4人はまたダンジョンの下へと歩んでいった。しかし、彼女達はまだ知らない。あの個性豊かにも程がある3人が作ったトラップの数々を……。
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