第十章「ダンジョン作りと成仏?」

41.ダンジョン作りのその前に

 まだまだ熱苦しい夏が続くこの頃。ハル達は魔法で冷風を出し、快適に読書をしていた。



 「やっぱり夏は涼しいところで読書するに限りますね」

 「オマエは根っからの読書好きだな……体の全部本で出来てるんじゃ無いのか?」 

 「失礼な」

 「ま、あの2人は相変わらずのようだけどな」

 「ホント仲いいですよね」

 そう言い、2人はルチアを抱きしめるミスティの方を見る。いつもと変わらない2人にため息をつき、ショコラはハルの本を見た。



 「お、それダンジョンに関する本か」 

 「はい。ちょっと興味が湧いたので」

 「へぇー……作り方とか書いてあるけど……あれ」

 「あ、そう言えば確かミスティさんはダンジョン創っている間に亡くなってましたね……」

 2人の間に少しだけ気まずい雰囲気が流れる。2人は何も悪くないが、近くにいるミスティにその話題を出すのはどうかと思ったからである。

 しかし、もしかしたらいい機会なのではと思い、2人はミスティに声をかけた。



 「おーい、ミスティ」

 「ショコラさんどうしました?」

 「ちょっと気になることがあるんだ、来てくれるか」

 「はーい、ダーリン行きましょ」

 「ボクも行くのかよ……」

 不満そうなルチアを引きずりながらミスティはショコラの方にやって来た。ショコラはミスティにとある1冊の本を見せる。



 「何ですか、これ。えーっと……『ダンジョンの全て』?」

 「この前、ダンジョンも作りかけで死んだって言ってただろ。そのダンジョンを完成させたいと思うか?」

 「ええ、思いますよ」

 「ぜひそうしてくれ」

 なぜかルチアの方が食いついてきたが無視をして、ショコラは話を続けた。



 「そのダンジョンって一体どこにあるんだ?」

 「あの森の近くにありますね。といっても落盤事故が起こったので多分半分ほど崩れてる可能性ありますけど」

 「マジか……」 

 しょんぼりと気落ちしたミスティに対し、ショコラはうーんと悩み頭をかく。

 そんな中ずっと黙っていたハルが言葉をあげた。



 「……ショコラさんまさかですけど私に頼るなんて事考えてませんですよね」

 「…………」  

 「ショコラさん? ちょっと聞いてます?」

 「え?」

 「どういう事?」

 ハルに睨まれる様な目線を送られ、ショコラは動揺する。その事に疑問を持った2人がハルに聞いた。



 「ハル、どういう事なんだ?」

 「ハルさんも凄い魔女なのですか?」

 「私の場合本に書いてあることを全て知識として吸収、なおかつ使うことが出来るの」

 「それだから読書や図書室が好きなんだな」

 「いや、それは元から」

 「え、じゃあ今のハルさんはダンジョン作りに詳しくなってると言うことですか?」 

 「といってもこれ1冊目だからまだまだだけどね」

 余計なことを言うなとばかりにショコラに1発制裁を与え、ハルは自分に与えられたスキルを説明する。それを聞いてミスティとルチアは呆然としていた。



 「じゃあ、このシリーズを全て読破すればダンジョンマスターになるのかい」

 「まぁ、そうなるわね……でも私一人じゃ心許ないし、もしかしたら全員幽霊になる可能性もあるかもしれないじゃ無い?」

 「……それは良く存じ上げてます」

 ハルの指摘にミスティは苦笑し、少し顔を下に向けた。そんなミスティを見てハルは少し罪悪感が芽生えた。



 「というわけで、まぁダンジョン建設にも協力するけど出来ればミスティさんやルチアさんにも手伝って欲しくて」

 「なるほど、つまりこれらを読破しろって事か」

 「私も読んだ方が良いですかね……」

 「読んだ方が良いじゃ無くて読んで、頼むから」 

 「は、はい!」

 ハルの気迫にやられたミスティ達はダンジョンに関する本を片っ端から読み始めた。



 そしてそれから1週間達彼女達はこの図書館にあるダンジョンの本を全て読破したのだった。 

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