殺意に触れる


「て、メェ」

「……お、じょう、を」

「殺す、だ、ぁ?」


「………」


「何も、言う気も、ねぇ、ってか」

「き、ひひ、ひゃひゃ」

「ざけんな、コラ」

「テメェが、お嬢を殺す、だァ?」

「そうか、そうか」

「確かにそう言った」

「そう聞いたわ」

「何の理由で」

「どんな意味で」

「お嬢を殺すのか」

「俺ァ分からねぇケドよォ」

「……お嬢を殺す」

「それだけで」

「俺がテメェを殺す理由にゃ十分過ぎらぁ」


「………っ」

(なんだ、この男の殺意は)


「悪いな」

「何度も何度も殺すって言ってるけどよ」

「今回はマジだ」

「死ぬ気で死ね」


(目が黒く……ッなんだ)

(この男)

(先程よりも)

(ポテンシャルが段違いだッ)

(斃さなければならない……)

(本気で)

(でなければ)

(この男に殺されてしまうッ!)


「は、ぁ……ふっ」

「―――鼓動、加速」

(一瞬を数秒に)

(数秒を数十秒に)

(数十秒を数百秒に)

(延ばせ、延ばせ、延ばし、続けろ)

(思考を止めるな)

(回し続けろッ)

(コイツを殺す計算を)

(組み続けろッ!!)

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