炎の怒り

 

「ひゃひゃひゃッ!」

「おらどうしたオッサンよォ!」


「ぐッ小癪なッ!」


「燃え盛る炎」

「揺れる姿は陽炎の如く」

「超えて見ろよ火柱の先へ」

「其処に俺は居ねぇからよォ!」


(奴の揺らめき)

(近づいてきたかと思えば)

(すらりと消えて塵と消える)

(技術、それは禪域かッ)

(〈残像〉……まさか体得する者が居るとは)

(周囲に炎を巻き散らかせる事で)

(その姿が認識し辛い)


「燃えろ燃えろッ」

「跡形も無く燃えちまえッ!」

「肉も骨も腸も」

「塵も滓も芥すら」

「全て燃えて尽きて消えちまえェッ!」


(炎を恐れないのか)

(この男は)

(いや)

(士柄武物は元々)

(持ち主の神胤を媒介に能力を発生させる)

(自身の神胤故に同化しやすいのかッ)


「ぐ、お、ぉぉぉおおッ!」

(奴の炎に触れるだけ)

(それだけで力が失われる)

(奴の炎は発火するだけではない)

(力を相殺しているッ)


「き、ひひッ!」

「終いだオッサン」

「なんで俺を殺そうとしてんのかは知らんがよ」

「返り討ちになってザマァねぇぜッ!」

「ひゃーひゃひゃひゃッ!」


(あぁ……憎たらしい)

「まさか、小僧如きに」

「本気を出さねばならぬとはな……」


「あ?」


「その実力に免じて」

「俺の術式を教えてやる」


「は、……あ?」

「マジか、お前ッ」


「―――〈日輪にちりん円手つぶらて〉」

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