メイドは足止め


「こちらのお肉とこちらのお肉……」

「品質も安さもこのお肉の方が上ですね」

「14グラム程量は少ないですが」

「こちらのひき肉にしましょう」

「さて、後は……野菜売り場ですね」

「………申し訳ありません」

「私の勘違いでなければ、ですが」

「私めに、何か御用ですか?」


「あれれ?」

「えへへ、ばれちった?」


「……男性?」

「いえ、骨格からして女性ですか……」

「服が男モノ、勘違いしてしまいました」


「私の事、忘れた?」


「いえ」

「私は貴方の様な人と知り合いではありませんが……」


「あー、そっか」

「うん、仕方が無いね」

「だって顔、変えてるしね」


「………何か?」


「うん、じゃあ、名前聞いたら分かる?」

「私ね、瑞」


「……ッ」

「御当主様の執事」


「うん、あ、待って動かないでね」

「私はね、別にメイドさんと戦うつもりは無いんだ」

「ただの足止めだからさ」


「足止め……お嬢様ッ」

「……と言う事は」

「あの腐食した食材は」


「うん、私がした」

「私の術式で」

「腐らせてみたんだ」

「ま、それが私の唯一の役目で」

「今は附叢磨と鞍仔が」

「お嬢様を躾てるからさ」

「だから、私とメイドさんは」

「此処に居なきゃダメだよ?」


「誰がそんな世迷言を……」


「あ、動かないで?」

「別にメイドさんを攻撃しないけどさ」

「もしも其処から動いたら」

「スーパーに居る人たち」

「全員殺しちゃうから」


「……ッ」


「えへへ、考えたでしょ?」

「これでメイドさんを」

「封じる事が出来たってね」


「………ッ」

「良いでしょう」

「私はこちらの方で鎮座しておきます」

「なんならストリップでもしましょうか?」


「あ、いや、やめてね?」

「注目は集めないでお願い」


「既にエロメイド衣服なので」

「注目を集めるなと言う方が無理な話ですが……」


「あ、そっか」

「いや、納得したらダメだけどさ」


「まあ」

「あなた方は少し勘違いをしている様子ですが」

「大方、任務を遂行する為に」

「私が邪魔だと判断したのでしょうが」

「私なぞ居なくても」

「お嬢様は強いですので」


「……へえ」

「じゃあ、生き残れるかなぁ」

「鞍仔はまだしも」

「附叢磨はねぇ……」


「……しかし、私が心配するのは」

「この後の事……」

「敵の術中に嵌ってしまった私は」

「一体、お嬢様にどの様な罰を受けるのでしょうか?」

「木馬に座らされてしまうのでしょうか……」

「あぁ……考えるだけでも興奮する」


「………やべー」

「この女、地味にやべぇよ」

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