界守とは別ベクトルで気持ち悪い奴


「普通のバッグと士柄武物の入ったバッグ」

「間違えて持ってきちゃったわ」

「危ないわね、すぐ気づいて良かったわ……」

「………?」

「何、目の前に、誰?」

「………此処、女子階層なのだけれど」

「何か用かしら?」


「………しぃ」


「?何かしら」

「良く聞こえなかったのだけれど」


「………美しい……」


「っ、なに、この人」

「急に褒め称えて」

「涙を流しているわ」


「あぁ、なんという事だ」

「どう見ても、其処に居るのは私の理想………」

「引き締まった臀部」

「滑らかなSの曲線を描く、くびれ」

「慎ましくも整った胸部」

「贅肉も駄肉も無い調整された体……」

「あぁ、此処にあった」

「私の求める女性の姿カタチが……」


「……なに、貴方」

「気持ち悪いわね」

「淑女に対する会話の仕方」

「分からないのかしら?」


「あぁ、しかも」

「骨格からして処女」

「その陰唇は」

「花弁が開く前の芽が如く……」


「……界守とは違うベクトル」

「詩人の様にセクハラをするのね」

「いえ、界守の方が幾分マシよ」

「女性からのセクハラと」

「男性からのセクハラ」

「違うって事、知らないのかしら?」


「だからこそ………」

「それ以外は、要らない」


「ッ!きっ」

「な、きゅ、急ッに」

「肩が、切られたッ!?」


「女性の美しさは胴体で決まる」

「それ以外は不要………」

「手足など」

「手放しで蛇足だと分かる」

「それ以外は必要ない」

「その首から先もね」

「そうすれば」

「君に首ったけ」


「あの手……糸鋸が出ている」

「まさか、絡繰機巧……ッ」


「私が手を加えましょう」

「完璧に美しい体に」

「四肢を無くして」

「死屍になろうとも」


「別段うまく無いのだけれどッ」

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