訓練でも少し成長

【前回】https://kakuyomu.jp/works/1177354055478314367/episodes/16816452218375407633



「ぎ、がはっ」

「ぐ、ふっ……」


「………」

「今日はここまでにしよう」

「……あぁ、嫌になるなぁ」

「今日の予定が少し」

「ズレてしまったな」


「ぐっひぎっ……」

「あ、クソッ……」

「痛って、え……」

「……あの、やっ、ろう……」

「ここまで、ボこ、り、やがって……」

「は、ぁ……痛ッえ」

「水、自販機ッ」

「は、がッ……あ?」

「やあ」


「んだよ、イヌ丸、かよ」


「うん、ボクだよ」

「ほら、我が友」


「お、ひゃっ水、みッ」

「んぐ、ぐッんぐッ、く、はッ」

「はッ、あぁ……染み渡るゥ」


「はは、そんなにかい?」


「はぁ……生き返るわ」

「ちょい、イヌ丸」


「ん?なんだい」


「肩、貸してくれよ」


「あぁ、勿論」

「ほら、我が友」


「はぁ……だるいわ」


「訓練、疲れたのかい?」


「あぁ……体」

「万全じゃねぇんだよ」

「両手の拳」

「まだ治って無ェし」


「?」

「あの狂人と戦って」

「殺されれば」

「傷は癒えた状態で復活するのでは?」


「あー……」

「契りの内容は」

「贄波のオッサンは」

「俺と出会う度に殺さないといけない」

「そんな強制を発動する事を条件に」

「俺に受ける致死に近いダメージを」

「強制的に治癒させるっつう契りだ」

「基本的に」

「俺ァ一撃死だからほぼ傷は癒えるけど」

「贄波のオッサン以外に受けた傷は」

「癒えるモンじゃねぇんだよ」


「へぇ」

「色々と複雑な様子だね」

「しかし」

「最近は生傷も増えている様子だけど」


「あ?あぁ、そういや」

「なんか傷が出来てんな」

「前まではこんな傷無かったのによ」


「……大方」

「あの狂人が我が友に手古摺って居たのでは無いのだろうか?」

「一撃で殺す事が出来ず」

「殺すまでの過程に一手二手程の工程が挟んでしまう」

「だから、致死に繋がらぬ傷は癒えない」

「と、考えるのであれば」

「我が友はきっと」

「あの狂人が攻撃を加えなければならない程に」

「手間取る存在となった、とは思わないかい?」


「………そう、か」

「あー、確かに……そうかもな……」

「ぎゃはッ、そうかも知れねぇなぁ!」

「ひゃひゃ、ざまあみろ」

「俺は手古摺る相手になったぜ」


「ふふ」

「我が友が楽しそうで何よりだよ」

「しかし、傷が増えるのは度し難い」

「傷を癒す為に」

「まずは保健室にでも行こうか」

「また、薬を塗ってあげるよ」


「……悪ィな」


「構わないよ」

「我が友の為ならば」

「命すら惜しくない」


「大袈裟だバカ」

「ッ痛ェ……おら」

「行こうぜ?」


「あぁ、それじゃあ」

「向かおうか」



【次回】https://kakuyomu.jp/works/1177354055478314367/episodes/16816452218479237664

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