ピアス


【前回】

https://kakuyomu.jp/works/1177354055478314367/episodes/16816452218460335696


「さあ、到着したよ」


「あぁ、悪ィな」


「お安い御用さ」

「……さて」

「ボクはこのまま帰るとするよ」


「そうか」

「……いや、待てよイヌ丸」


「ん?どうしたんだい?」


「少し茶ァでも飲んでいけや」


「……お邪魔して良いのかい?」

「ふふ、それは嬉しいなぁ」

「お言葉に甘えて」

「お茶でも頂こうか」


「……つっても」

「あるのは炭酸水だけだわ」

「ほら」


「ん、どうも」

「お茶じゃなくても」

「我が友がくれるモノなら」

「ボクは有難く頂くよ」

「ありがとう、我が友」


「おう」


「それにしても」

「流石は我が友の部屋らしい」


「んだよ」

「汚れて悪かったな」


「あぁいや、そういう意味じゃないよ」

「ボクの部屋は殺風景だから」

「生活味のある部屋が目新しいだけさ」

「少し、物色しても?」


「あ?別に良いけどよ」

「面白いモンなんざねぇぞ」


「……おや」

「我が友、これは?」


「あ?」

「あぁ、そりゃピアスだ」

「耳に付ける奴」


「……?」

「そう言えば」

「良く見れば我が友」

「耳に穴があるね」


「あぁ」

「まあ、もう使う気はねぇけどな」

「一回贄波のオッサンにボコられて」

「ピアスが千切れて耳が裂けたんだよ」

「あれ以来、ピアスは付けてねぇ」

「………あー、そうだ」

「お前要るか?」

「俺もう使わねぇからよ」


「……いいのかい?」

「こんな高そうなモノ」

「貰ってしまっても」


「……まあ、日頃の礼ってワケだ」

「遠慮なく貰っとけよ」


「ありがとう、我が友」

「………ところで」

「ピアスってどう付ければ良いんだい?」


「……あー」

「そうか、お前」

「穴開けて無かったか」


【次回】

https://kakuyomu.jp/works/1177354055478314367/episodes/16816452218505830496

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