異世界に転生した少女は異世界を満喫する

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少女は異世界を満喫する!

突然、ふと気が付くと私は赤ちゃんになっていました!?


何これ!ナニコレ!?

軽くパニックになったけれど、私の事を『シオン』と呼ぶ金髪碧眼のお母さんを見て、これ異世界転生じゃん!と気が付きました。


神様に会った記憶ないけど、チートとかあるのかな?それとも努力系での成り上がりかな?


取りあえず、赤ちゃんである今は何も出来なくて暇だったから、魔力ってのがあるのか色々とやってみました。すると、なんとな~く身体の中央が暖かくなる事を感じたの!


それを少し続けると、急に力が抜けてブラックアウトしました。


多分それが魔力だと思い、それを続けて1年ほど経ちました。段々と繰り返していると、ブラックアウトする時間が延びてきました。自分でも魔力量が上がっているのが分かるくらいには成長しました。

なんか血液を循環させているような感じだね!


そして私が魔力を使っていると光の球体が集まるようになりました。


なんだろう?虫じゃないよね???


赤ちゃん的に手を伸ばすと光の球体がふわふわとすり寄ってきました。

あっ、なんか暖かいな~


ほどよい体温でぐっすり眠れるようになりました。これ一家に1台あったら便利だよ♪


ヾ(・ω・ヾ)

ようやくハイハイできるようになると家の中だけど動けることに感動しました。だって暇なんだもん!動き廻るぞ~

ヾ(・ω・ヾ)


2歳になる頃に変化がありました。

光の球体達が『孵化』しました。


なんだと!!!?


孵化した球体達は絵本とかにでてくる小さな妖精の姿をしていました。


『ようやく成長したの~』

『ずっとシオンの魔力で育ってたんだよ~』

『ようやく喋れるようになったよ~』


小さな妖精さん達は、私が訓練で垂れ流していた魔力に寄ってきていたようで、下級精霊から中級精霊に成長したことで、姿が変わって喋れるようになったんだって!


私も早く喋りたいよ!?

妖精さんの姿になった精霊達は私の遊び相手になってくれました。

そして、私のチート能力の1つが明らかになったのです!


それは『文字』が読めることでした!なんか家には魔法書がいっぱいあって、異世界の文字なんてわからないはずなのに読めたのよね♪


因みに、お母さんとお父さんにもこの精霊達は見えます。光の球体の時から見えていたのですが、精霊に好かれることは良い事なので見守っていたのです!


姿が妖精なんだけど、ややっこしいのでこれ以降は『精霊』と呼びます。中級の精霊達は私に魔法を教えてくれました。便利だよね!

着実に魔法を覚えていく事に感動し、知らない間にチートの力を手に入れるのでした。


ここらで私の両親に付いても話しておきます。


私の両親は元S級冒険者で、住んでいる国を救ったとかで男爵の爵位を貰い、貴族となったのです。

しかし、国を救った英雄に対して授かった領地が国境沿いある1番の辺境だったのです。

そこは隣国との境にある、多くの強力な魔物の住む『還らずの森』に隣接している場所でした。元々開拓の村としてあった所みたい。


ちょっと酷くない!この国の国王や貴族は腐っているよ!?

私は村人達の話を盗み聞きしながら憤りました。でも、当の両親は私が産まれると同時に、辺境でのスローライフを楽しみたいと、なんのそのでした。しかも、他の貴族の嫌がらせで商人など滅多にこないようで、自給自足の生活を強いられていました。

圧倒的な強者であり、領主であるお父さんは時々、隣国の方へ魔物の素材を売りに行ってそこで生活品を買って戻ってくる対応をしていました。

(マジックバックで大量な物資の運搬が可能)


これって、私じゃなくて両親が主人公の異世界ストーリーなのかしら?


そうして月日が流れました。

遂に5歳になったぜぃー!


この世界では5歳になると教会でスキル鑑定をするそうなのだ!定番だね♪


この時は辺境から1番近い大きな街に遠出をしました。そこの大きな教会で鑑定した所、私のスキルが判明したよ!


フッフッフッ!

遂に私の天下がきたのだぁ~!


私のスキルは『テイマー』でした!

おおっ♪良いじゃないですか!?

最近ではテイマーが主人公の小説が人気あるよね♪スライムを大量にテイムしようかな?

クリーナースライムは是非とも欲しいよ♪


しかし、私の鑑定に立ち会った司祭様が残念そうな顔しました。英雄の娘である私のスキルにがっかりしたみたい。この異世界ではテイマーは不遇職みたいなのだ。

自分で魔物と戦い勝たないとテイムできないからみたい。でもテイマーは特殊な力がないから弱い魔物しか『仲魔』にできないのが不遇職という原因だ。


しかーし!私には5年間、伸ばし続けた膨大な魔力がある!魔法だって精霊達に学んで、色々と使えるから、どんどん強い魔物を従えてやんよ!

私はそう心に誓って生まれ育った村に戻るのだった。


村に戻った翌日、精霊達と共に『還らずの森』に入りました。無論、入口の浅い所ですよ?


「よし!さっそくテイムするぞー!」


シオンはテイムのやり方を精霊達に尋ねた。


『う~とね?シオンの魔力ってとっても美味しいの~♪だから魔力を全開に解放すれば、『大物』が釣れると思うの~』


「でも、大丈夫かな?あんまり強い魔物が来たら倒せないよ?」


『大丈夫なの~!今の私達は上級精霊にまでなったのよ!私達がシオンを守って上げるからね♪』


おおっ!?いつの間にか成長していたの!?

ってか、1年前ぐらいから小さな妖精の姿から大人の女性の姿に変化してたよね!あれがそうだったのかー!?


シオンは精霊の言葉を信じて、今まで体内で循環させていた魔力を、集中しながら少しずつ外に向けて解放していった。


ゴゴゴゴッ!!!!!!


大地が震えた。周囲から動植物達の声が消えた。シオンの身体が膨大な魔力によって、陽炎の様に揺らめいた。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!」


ゴゴゴゴッ!!!!!!


時間にしたら僅か数分ぐらいだったと思う。精霊達が私の周囲に付いて、辺りを警戒した。


「…………何も来ないね?」

『う~ん、おかしいなぁ~?』


しばらく待っていたけど誰も来なかった。


「はぁ~失敗かー!」


やる気があった分、ガックリときたシオンだった。そして─


バッサ!!!

バッサ!!!


うん?なんだろう???

ふと見上げると、空には巨大な白い龍が飛んでいました。


おおっ!?これぞファンタジーの王道の龍だよ!?感動しているシオンに精霊達が言いました。


『シオン!大変!?あれは神獣だわ!』

『私達の手に負えないかも!?』

『シオンだけは守るの~』


えっ!?マジで?私の人生詰んだ………!?

さすがに焦るシオンだったが白い龍から声が聞こえてきた。


ドシンッ!!!


『先ほどの魔力はお前なのか?』

「えっ、喋れるの!?えっと、そうです!」


私は先ほどと同じように魔力を高めた。


『ほぅ………間違いないようだな。小さな人の子よ、お前は何者だ?』


シオンはこの世界で生まれてからの日々を白龍に伝えた。


『なるほど、あの英雄の娘であったか。彼の者の血縁者なら、この魔力も頷ける』

「お父さんを知っているの?」


『うむ、我が血族から邪龍が産まれた時に、討伐を手伝って貰ったのだ。人間の多くは弱者であるが時折、英雄や勇者と呼ばれる強者が産まれるので面白いのぅ』


へぇ~?それってこの国を救った事件の事かな?


『ふむ、膨大な魔力を確かめにきたのだが、縁(ゆかり)あるものであれば授けてみるか……』


「えっ?何ですか?」


白龍の身体が光ったと思ったら、目の前には大きな『卵』が現れた。


「卵???」

『うむ、お主の魔力で孵化させてみるがよい。我が子を託そう』


「魔力で孵化するの?」

『そうだ。我が名はノヴァという。お主の名前を言うがよい』


「私はシオンって言います!」


『ではシオン、我が子を頼んだぞ!』


白龍のノヴァはそういって飛び立っていった。

取り敢えずシオンは精霊達に手伝ってもらい、大きな卵を家に持ち帰った。


「おや、シオン?ノヴァに会ったのかい?」

「私達も久しぶりに会いたかったわね♪今度、会いにいきましょうか?」


おいおい、お母さんよ?あの遠方に見える山脈の頂上にピクニック気分で行くと?


私は気持ちを切り替えて、この卵をどうしようか考えていると、お父さんが日曜大工で卵を担ぐ『籠』(かご)を作ってくれた。背中に担げるようにね。


いやいや、まだ5歳の女の子の私に、一日中担いでいろと?マジで???


それから一週間ほどそんな生活が続きました。


「うがぁーーーー!!!!やってられるかーーーーー!!!!」


私は○仙人じゃないんだよ!こんな生活耐えられない!実家へ帰らせて頂きます!

………て、ここが実家じゃん!


ストレスから錯乱してたわ!テヘペロッ♪


『シオン、卵を早く孵化したいなら魔力を練ってみたら?』

『いつもやっている魔力の循環ってシオンから魔力が滲み出すのよ~』


なんだと!?はやく言ってよ!


シオンは目の前に卵を置いて座禅を組んだ。

むむむ…………!!!!


毎日やっている魔力の循環をより集中して練り上げる。そして目の前の卵に触れた。


ブルブルッ


!?


動いた!?

パリパリッ!!!


『キュゥ………』


「産まれたーーーーーっ!!!!!!」


この後やってきたお母さんが、あらあら、5歳で出産なんてシオンちゃんは凄いわね~と言った母の言葉が胸を抉ったよ!



あらから数ヶ月が経ち、産まれた子龍は真っ白だった事から『シルビア』と名付けられた。

そして─


『マスター!今日も泥遊びする?』


シルビアは普段は肩に乗るくらいの小さいサイズだけど、今では『巨大化』できるようになったのだ。そして、大きくなったら何ができるか考えた。


①魔物と戦う!

②背中に乗って遠い街へ買い出し!

③村の役に立つ!


この三番目を日課にしているのです!

泥遊びと言いながら畑を耕しているのです♪これで例年より多くの実りが期待できるでしょう!

村の役に立つことで村人達からも瞬く間に人気者になったシルビアでした♪

龍には母親からの知識がある程度引き継がれるみたいで、私が本当の母親でないと1から説明はいらなかった。


そしてさらに月日が流れ7歳になりました!

そろそろ立派なレディ(笑)になれたかしら?


私は前々から考えていた計画をお父さんに伝えた。


「村をもっと豊かにしたいだって?」


子供の私がそんな事を言うなんて驚くよね?

絶対に反対され─


「良く言った!ぜひやろう!」


はっ?


「流石は私の娘ね♪村のみんなの事を大切に想っている証拠ね。私も協力するわよ♪」


よよよっ???


あっさり通ったよ!それから村人を集めて、村の方針を話し合った。


「具体的にどう動いていくんだい?」

「シルビアちゃんのおかげで余裕ができたからぜひ協力するわ!」


ここまでの人気とは…………予想外だったわ!

シオンはまず、貧弱な村の魔物や動物対策の柵を『城壁』に建て替える事を説明した。


「その城壁はどうやって作るんだ?」


村人の質問に1つ1つ丁寧に答えていった。まぁ、ほとんどは精霊とシルビアの力技何だけどね!


「城壁は土の精霊にお願いしています。私の魔力を分けて、地面からドーーンと石の城壁を作り出します!」


イメージ

麦畑麦畑麦畑麦畑麦畑

山__【村】__山

山 【森森森森】山

山【隣国】山



そして、村側全てを城壁で『蓋』をするようにして、魔物がこちら側に来ないようにします。

城壁は20メールの高さで作り、上から弓矢で応戦出来るようにするの!

(万里の長城みたいな感じだね♪)


城壁ができた後は、村の家を改築するよ!あばら家が多いから、丸太でできたログハウスみたいなコテージ風の建物と、レンガでできたしっかりした家を作る予定だ。

無論、村の中は石畳にして田舎の雰囲気を残しつつ、都会の感じも取り入れていくのだ。


最後に魔物が来ないようにしてから、反対側の平地の土地を麦畑に開拓するのよ!

畑はシルビアと精霊さんに耕してもらい、後は村人達で作付けする予定だ。


説明を最後まですると喝采された。


「凄いぞシオン!ここまで緻密な計画を立てていたなんてな!」


いやいやいや!かなり大雑把にいったけどね?

この異世界ではこの程度のプレゼンで驚かれるのかよ!?

まっ、何はともあれ明日から行動していくぞ~!


えいえいおーーーー!!!!


それからは忙しい日々が続いた。城壁は一週間ほどで森に蓋をする長い城壁が完成した。

麦畑もシルビアが耕して、精霊達が川や井戸を作ってくれて、1年後には一大穀物地帯になってしまった。うちの領地は魔物の多い地域だから、以外と平地の方でも領地だけは広かった。

(還らずの森から魔物が多く出てくるから、お父さんに領地を丸投げしたの!クズ貴族達がね)



森も開拓できれば自分の領地にしていいと『確約書』も貰っている。


こうして領地改革は大成功を納めたのだった。


さぁ!次いくよー!!!


次は『還らずの森』の開拓だよ!

地図でみるとかなり広く、隣国まで直線で10キロほど、森は横に伸びていて横だと50キロほどにもなる。

そこで私は隣国と直線で繋ぐ石畳の街道を作ろうと思ったの!


先にある程度作ってから隣国に説明しようと毎日、せっせと精霊達と一緒に頑張りました!


土魔法で地面から地割れを起こすように左右に木々などをどかしてから、石畳を整えていった。これが結構な魔力を消費してなかなか進まなかったの。

でも、快適な異世界ライフの為だもんね!頑張るよ!


気付いたら私は10歳になっていました。


ようやく隣国の国境『砦』が見える距離まで進んでいくと緊急事態が発生した。隣国の砦が魔物の襲撃を受けているようだった。


「大変!?助けなきゃ!」



少し時間が遡り、隣国の国境砦にて─


「まったく!第一王子であるロイド様になんて扱いをさせるのだ!」


ロイド王子の重鎮の1人である国境砦の責任者である辺境伯ガーターは憤っていた。

この国の第一王子であるロイド様が、視察と訓練という名目で危険性の高い辺境の還らずの森に隣接する砦にしばらく滞在することになったのだ。


ロイド王子は第一王子だが身分の低い側妃の産まれであり、正室の王妃から一歳年下の王子が産まれた為に疎まれていた。

しかもロイド王子は母親の為に必死になって勉学や剣術に打ち込んでいたため、甘やかされて育った第二王子より優秀であった。


歳は11歳である。


それが妬まれ辺境へと追いやられたのだった。しかも側妃である母親と一緒にだ。


「なんとか中央の政権が安定するまでは御守りしなければ………」


ロイド王子である側妃様から自分の命はどうなってもいいから息子を頼むと言われて辺境伯の決意は決まった。昨今、自分の命可愛さに仲間や身内を売る者がいる中、我が子を守る母親の強さを目にした辺境伯ガーターは生涯の主を決めたのだった。


そしてしばらく経ったある日………魔物の大規模襲撃が起こった。


「大変です!何者かが高濃度の魔物寄せの魔導具を使った模様です!」

「なんだと!?」


王妃派はそこまでしてロイド王子を殺害したいのか!?

この国の国王は長子であり、優秀なロイドを王太子にと宰相と複数の高位貴族と話し合っていたのだ。無論、王妃としては面白くなく、実子を次代の王にすべく派閥を形成し動いていたのだ。ロイド王子を排除すべく─


国境砦は総員で魔物の迎撃に当たった!


「我々、辺境軍の底力をみせてやれ!!!弓矢など惜しまずどんどん射掛けろ!!!」


ガーターは前線にでて戦線を維持していた。


ザシュッ!!!!


「はぁはぁ、切りがないな」


幸い、小型の魔物ばかりで大型が少なかった為に、鉄の鎧兜をきた騎士団に犠牲者は出ていなかった。


ざわざわ

ざわざわ


「なんだ!何があった!?」


騎士達がざわめいた。


「な─!?」


ロイド王子が前線で戦っていたのだ。


「ロイド王子!ここは我々が食い止めます!早くお戻り下さい!」

「いや、この事態は私のせいだ!せめて砦のみんなを守る為に私も戦う!」


ロイド王子の言葉に感銘を受ける辺境伯であった。


『この御方をこんな所で死なせる訳にはいかない!』


ガーターは一端、砦に籠城するかどうかの判断に迫られた。


『どうする?どうすればいい?』


戦いながら考えている時であった。


バッサ!!!

バッサ!!!


「なんだ!?」


深い森の木々に際切られて見えなかったのだ。空から巨大な龍が現れたのだった。


「バカな!龍だと!?全員、砦に退避しろーーーー!!!!!」


なんとか王子を守らなければとガーターは殿(しんがり)を務めようと足を止めると、白い龍は魔物を攻撃していた。


「なっ、なにが起こっている?」


目の前には信じられない光景が広がっていた。白い龍が魔物を蹴散らしていたのだ。それだけではない。人前に滅多に姿を見せない上位精霊が複数人も人の姿で現れて龍と一緒に魔物と戦っていた。


「ワシは夢でもみているのか?」


側には足を止めた仲間の騎士団やロイド王子までも呆然と見ているのだった。


魔物が一掃されると、上位精霊が話し掛けてきた。


『みなさん、大丈夫でしたか?』


「こ、言葉まで話せるのか。助けて頂きありがとうございました。なぜ、我々を助けてくれたのですか?」


『我が主の御命令で助けました。そちらの白龍のシルビアも主のペットなんですよ♪』

『精霊さん、ペットじゃないよ?パートナーだからね?』


「「「龍がしゃべった!?」」」

『それはしゃべるわよ?神獣ノヴァの子供ですから』


!?


北の山脈に住む龍族のトップではないか!?数年前に現れた邪龍討伐にも力を貸して頂いた神獣の子供とは!?


「失礼ですが、あなた方の主とは………?」


ロイド王子が尋ねた。

そうだ!王子の言う通り、この龍や上位精霊を従えている者がいること!?


目の前の光景に頭が廻らなかった辺境伯は、改めて恐怖した。これだけの者を従える者とは一体何者なのだろうか?


すでにこれだけで、一国の軍隊に匹敵するぞ!?


そこに間の抜けた声が響いた。


「お~い!大丈夫でした~?」


上位精霊に運ばれてきたシオンはゆっくりと地面に降り立った。


「少女………?」

『あら?もう来たのねシオン。みなさん、こちらが我々のマスター、シオンちゃんですわ♪』


「「「なんですとーーーーーー!!!!!!」」」


国境砦に何度目かの驚きの声が上がった。

こうしてシオンは砦を救った御礼を言われ、さらに、還らずの森に作っていた街道の話しをして、驚かれるも好意的に協力して貰える約束を取り付けたのだった。


「シオン嬢は凄いね。正直、羨ましいよ」


シオンはデコピンをして王子に言いました。


「私だって最初から何でもできた訳じゃないのよ?スキルだって不遇職のテイマーだったしね!今、できることで最善を尽くすしかないじゃない?羨ましがっても仕方がないからね」


シオンは王子にいつもやっている魔力循環を教えました。


「こ、これを毎日やっているのか!?」


初めてで辛そうにしている王子でしたが、一般人より魔力が多いらしく、けっこう長い間続ける事が出来ました。


「そうだよー?毎日限界まで続けると少しずつ魔力の上限が上がっていくの♪」


そうそう、何事もコツコツとだね!


こうしてシオンは還らずの森に、石畳で馬車2台分がすれ違えるほどの『街道』を作ることに成功したのでした。さらに、街道に一定間隔に【聖女】である『お母さん』が魔除けの結界を張ってくれました。継続的な結界の維持は精霊達にお願いしたので、余程のことが無い限り魔物が襲ってくることがありません。


私達の村からは大量生産できた麦を砦に売りにいき、更になんでかうちの村の加治屋さんの武器がメチャクチャ性能が良いらしくて、砦の兵士さんが自分の給料で買ってくれて、隣国からはオシャレな衣類や生活物資を買い付けました。


ちなみに、還らずの森から塩湖が見つかり、塩が手に入る様になるのはもう少し後になってからです。

更に、還らずの森に住んでいたエルフやドワーフ、獣人などと交易が始まり一気にシオンの村は発展していくのでした。


そして─


「シオン、私は君が好きだ!将来、私と結婚して欲しい!」


しばらく交流を続けて仲良くなったロイド王子から告白されました。ヤバい!直球でくるから滅茶苦茶に嬉しいかも!?


「正直、シオンは凄いよ。不遇職にもめげず努力して白龍のシルビアをパートナーにして、精霊達にも好かれている。私は王位には興味がなかったけど、シオンに釣り合うよう王位を目指そうと思う。まぁ、シオンは王妃なんて嫌だろうけど、これは男の意地だな」


ロイド王子の言葉にシオンは返事をした。ロイド王子13歳、シオン12歳である。


「ロイド、貴方の告白は嬉しいわ。でも、王位を目指すのは少し待ってくれない?」


私ってば貴族の令嬢のマナーなんてほとんどやってないからね!

(何故か村に婚約破棄されて追放された貴族令嬢のお姉さんが何人もいたから教えて貰ったのよね)


「シオン、実は王都で王妃と弟が好き放題やっていてね。重税で何人も辺境へと逃げてきている民達がいるんだ。王妃の派閥が大きくなりすぎて、国王や宰相でも止められなくなっているみたいなんだ。自分は少しでも領民を助けたい!」


うん!めっちゃ良い男じゃないか?

私は幸せ者だね!


でもね?

もっと良い話があるんだなぁ~


シオンは悪巧みしている顔をして言った。


「実はうちの国でも貴族の横暴で難民が流れてきています」

「そうなのですね。長く平和が続くと貴族や王族も腐っていくんですね」


ロイド王子は拳を握った。


「だからロイド、全てを救わない?」

「全てを………?」


そう、領民には悪いけど重税で苦しんでいる領地の民に『噂』を流すの。辺境は税が少なく食べ物もたくさんある桃源郷だってね。難民を快く受け入れていると…………


すぐには効果がなくても、数年すれば私達の辺境はかなりの人口になるはずよ♪

そして人口の減った貴族の領地は衰退するから一石二鳥よね。


還らずの森には多民族も住んでいるしね!


シオンの計画を聞いてロイドは驚愕した。


「まさかシオン………!?」


悪巧みが成功したように、にんまりして言った。


「そう!独立して新しい国を興すのよ♪」


両手を広げて壮大な計画を話した。


「ふ、ふはははは!!!!凄いや!シオン!私の考えを軽く超えていくね!」

「だって、この計画なら離ればなれにならなくて済むじゃない?」


えっ、そんな理由で?


「そうだね。私も好きな人と離れたくないな。よし!腹を括ったよ。一緒に頑張ろう!」


ロイド王子とシオンは硬く握手を交わした。

後に、シオンの計画は大成功を納め、難民を受け入れて人口が増えたことで独立を宣言した。


両国とも軍隊を派遣したが、両親と一緒に蹴散らしてやったわ!

ってか、弱すぎて笑ったw


更にシルビアの母親ノヴァがシオンの村を守る為に力を貸してくれた。

と、言っても『武力』ではなく『言葉』でね。


ノヴァは両国を飛び回りながら大音量の声(魔法で拡大)で言ってくれたの。

2つの国は腐ってしまった。もう魔物に襲われても助けない。自分の子供と契約者の興した新しい国を支持するってね。


それによって、両国で暴動が起こり内乱になったようだ。難民は受け入れていたけど、政治的関与はせず、勝手に滅べばいいと思い高見の見物をしていた。

だって、私は自分が楽しく暮らせればいいのであって、国を救いたい訳じゃないから。目の前の救える者は救うけど、自分から知らない人達を救うような聖女でもないからね。


こうして、両国は衰退し代わりにシオンの興した新しい国の多民族国家が大きくなっていくのでした。


シオンとロイドは後に結婚し、子宝にも恵まれて幸せに暮らしたのでした。



FIN

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