第19話 夜逃げだよ! (所属タレントは)全員集合!
前回までのあらすじ。
勤めていた普通のブラック企業B社を退職したGhost。
僕を脚本家としてスカウトしていた芸能事務所Cの社長へ、その旨を報告するとC社長からメールが返ってきました。
《芸能事務所Cは一度終わらせます》
はぁぁぁぁぁぁぁ? 俺、無職決定やん!
〇芸能事務所Cに所属していたタレント、講師たち……。もはや敗戦処理の様相。
僕が普通のブラック企業B社を退職して数日後の事でした。役者Aがとある小さな演劇場を借りて、芸能事務所Cに所属していたタレントや自分の友人を呼び集めていました。
役者A曰く、
役者A
「芸能事務所Cは無くなっちゃったけれど、せっかくこういう縁で知り合ったんだし俺たちで何かやっていこうぜ」
との事でした……この言葉だけ聞けば、それなりにカッコいいんだけどなぁ(/・ω・)/
それはそうと、この日、役者Aに呼ばれて集まった面々のうち、元芸能事務所Cに所属していたのは、
ダンサーA、ダンサーB、女性ユニットのメンバーが数人。
その他にミュージシャンBという女の子と、ミュージシャンDと言う男の子。
その他で集まったのが
クラリネットプレーヤーAさん(クラAさん)と、クラAさんの彼女ベーシストAちゃんでした。
【プロローグから抜粋】
○ミュージシャンB
二十代前半。女性。
シンガーソングライターを自称しているがギターは弾けない。詩は書けない。歌もまともにブレスすら出来ない。
なので他人の楽曲を盗もうと躍起になっていた。
《所有する芸術スキル》
・作詞、作曲?
・うたが、うまい……?
・嘘八百!
・いつもダイエットしてる。
○ベーシストA
Ghostと同い年。女性。
ベーシスト。仲の良かった友達。数多くの変人たちが出てくる本作において超貴重な常識人。
数年前に結婚。ちなみに旦那さんもGhostと友達。
《所有する芸術スキル》
・ベーシスト
・常識を
【プロローグに登場しない人物】
〇ミュージシャンD
二十代前半。男性。
ギター一本で世界観を作り出せる空気を持ったミュージシャン。良い意味で演出家泣かせ。
格闘家、須藤元気に似てると思う。あのハニカミ笑顔は絶対モテるだろうなぁ。
ちなみに役者Aの後輩。
《所有する芸術スキル》
・作詞、作曲。
・アコースティックギターのスキル。
・弾き語りスキル。
・ものすごく優しくて、素直な好青年。
・多分、変態じゃないけれどGhostと仲良くなったレアキャラクター。
さてこの日、役者Aが主体となって話しを進めていこうとしていたようですが、そこに集まったのはC社長に夜逃げされて完全に路頭に迷ったタレント達が集まっているわけです。
そりゃあ不満、愚痴、怒り、焦り、嫉妬、etc……当然の如く、そんな話題で盛り上がります。役者Aを無視して……。
その時に聞いたC社長の経営手腕を少しまとめてみようと思います。
〇しく〇り先生。俺みたいになるな!! C社長の経営手腕編!
・ライブの売り上げ? そんなもん打ち上げで全部使っちまったわ!
入場料五千円も取っていたライブハウスでのイベント。僕も二回ほど見に行ったのですが、その時のイベントの売り上げの粗利は全て打ち上げの飲み代に消えていたことが発覚……すげぇなぁ。
まさに昭和の芸能界を地で行く心意気!!
オイラは宵越しの銭なんざ持たねぇぜ!!
その結果、講師陣に支払われるはずの契約料(三か月分)は一切払われる事が無かったそうな。全講師陣はブチギレ……いや、すげぇなぁ。
・地方である事を強みに! → 地方は仕事無いから関西まで行くぞ!
何を言ってるかわからねーと思うが、ありのままを話すぜ……。
東京は群雄割拠。
ゆえに地方で活動し、地元密着で活躍の幅を広げていく事を売りにしようとしていたC社長。そのC社長は営業に駆け回り、一つの大型案件を取ってきました。
それは関西の広告会社が制作しているCM撮影、と言う案件でした。ダンサーAと役者Aが抜擢されたそうです。
が、しかし!! 新幹線代はもったいない! 飛行機なんてもってのほか! 社長の運転する車で現地に入り(ちなみに協調性の無い役者Aは直前まで東京でプラプラしてたので、実費で関西まで行ったそうな)。
……その仕事、コスパ悪くない?
そーいえば、僕が昔働いていたブラック企業でも、作った機会を搬入するために自分たちで西日本まで車で走った事があったなぁ。
運送業者さんを雇うのがもったいなかったみたい。
とは言え、人件費なんて払わなきゃいいじゃん、というワ〇ミ・クオリティを受け継ぐC社長ですから当然でしょう(当然じゃありません!)。
・芸能事務所に所属してます! → お金払ってレッスンを受けるだけ、と言う闇を感じるビジネス。
これは僕が個人的に(なんだかなぁ)と思うだけなので、案外世間では常識なのかもしれません。
事務所立ち上げ後、割と早い段階で芸能スクールも推し進めていった芸能事務所C。それはそれは幅広いコースを用意していました。
・役者コース
・ダンサーコース
・歌手コース
・声優コース
・子役コース……etc.
安くない月謝を払い続け、かといって特別な舞台に上げさせてもらう事もなく、ただただレッスンに明け暮れる日々が過ぎていくだけ……なんだかなぁ。
そもそも地方都市で声優や子役の需要なんて限られているから、あまり期待できないでしょうねぇ。
ま、ビジネスモデルとしては生徒たちから安定した月謝が手に入るわけだし、無理に仕事取って来る義務もないわけだし、割と手堅いビジネスなのかもしれないようにも思えます……ま、事務所は潰れてるけどな!
〇芸能事務所Cに所属していた面々のその後……
この日集まった人々のうち、ミュージシャンCとミュージシャンDは今後もしばらく僕らと一緒に活動する事になります。
ですが、他の人達とはこの日以降再び出会う事はありませんでした。これを機に芸能界を諦めたり、裏方や講師としての道に向かったり、芸能人としての道を自分で切り開いて行ったりなど様々。
今になって気づくのですが、この時の僕たちは奇妙で、青臭くて、塩っ辛い人間交差点を目隠ししながら歩いていたように思えます。
役者Aによって集められた劇場での愚痴りつつも彼らから聞き出した各々の進路をまとめてゆこうと思います。
・芸能事務所Cが潰れて……女性ユニットのメンバーたちの場合。
女の子五人組ユニットに所属していた彼女らは各々ばらばらに活動するようになったそうです。ミュージシャンとして弾き語りしたり、ダンサーとして頑張ったり、芸能自体辞めてしまったり。
なかには東京へ進出したは良いけれど、ゲスなプロデューサーに愛人契約を迫られて、嫌になって地元に帰った子もいたそうな。
昨今でこそME TOO運動等のお陰で、キン〇マ袋に入ってしまうほど小さい脳ミソの変態オヤジ共の存在が攻撃されるようになりましたが、世の中にはまだまだタップリ居るんでしょうねぇ。
ちなみに愛人契約を断った女の子は、その後、芸能関係を辞めたものの、イケメンの韓国人モデルさんとお付き合いを始めて幸せになったそうな。めでたし、めでたし。
あ、あとね! ME TOO運動と言えばね! 僕も言いたいことがあるのよ!
昔、出向先の飲み会で、飲んでる最中ずっと別部署のオバちゃんに
・芸能事務所Cが潰れて……ダンサーBの場合。
電車に乗ればすぐ都内の某県。
そんな立地ですのでダンサーBさんは芸能事務所Cが潰れた後、すぐに都内で活動を始めたところ、路上でスカウトされたそうな……「AV男優になりませんか?」って。
周りの人たちは
「それ引き受けたの?」
と興味津々。
ダンサーB
「いや、さすがに無理。ないない」
役者A
「俺だったら引き受けるわ!」
ダンサーA
「死ね」
ダンサーB
「死ね」
女性ユニット達
「死ね」
Ghost
(何も言うまいて)
・芸能事務所Cが潰れて……ダンサーAの場合。
芸能事務所Cが健在の時、最も一押しタレントだったダンサーA。彼は既に別の活動場所を確保していて、数か月先まである程度スケジュールが固まってきていたそうな。
多分、彼は芸能事務所Cと出会わなくても問題なかった人なんだろうな(/・ω・)/
・芸能事務所Cが潰れて……C社長の場合
夜逃げしたC社長の行く末も噂程度には流れてきていたのです。
どうやら某県とは遠い所へ引っ越したらしく、新天地にて経営コンサルタントを始めたとか。
もう一度言います。
新天地にて経営コンサルタントを始めたとか……すげーだろ? これボケじゃなくて、マジでやってるんだぜ!
・芸能事務所Cが潰れて……Ghostの場合。
オレの書いた小説返せよぉぉぉ! ボケがぁぁぁぁ!!
そう。C社長は突然夜逃げしてしまったため、「預かっておく」と言ったまま持って行ってしまった僕の処女作はその時点で紛失していたのでした。
パソコンの中にバックアップは残っているとは言え(今になってみれば昔描いた下手くそ小説とは言え)、勝手に持ち出してほしくないものです。
なんやかんやで草稿に半年、推敲に半年、丸々一年かけて書いた人の努力を何だと思っているんですかね、まったく。
さてさて、この日、集まっていたクラAさんとベーシストAちゃんはイベントの時に裏方として手伝ってくれることになります。
芸能事務所Cの残党たちが愚痴った後に、ようやく役者Aが自分の計画を話し始めるんですが、それについてはまた次回!
そして、ほぼ同時期、無職の僕はひょんなところで社長になります……時給1500円で( 一一)
こちらについてもまた次回。
to be continued(/・ω・)/
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