第18話 え!? オレの周り、『仕事を辞める』という日本語が理解できない人ばっかり!

 前回までのあらすじ


 C社長の経営する芸能事務所Cからのスカウトを受けたGhost。悩みつつも仕事を辞める事を決意したGhostだったが、処方箋プリンター精神科医には仕事を辞める事を大反対される。


 納得のいかないGhostは処方箋プリンター精神科医と袂を分かつことを決意。これ以降、強制断薬生活が訪れる。


 それはそうと、仕事を辞めるにあたって辞表を書いたりと手続きを始めるのだけれど……。




〇「仕事辞めたいんですけど」に対するB社社長の反応


 仕事を辞める二ヵ月前。僕は【退職届】を持って会社へ向かいました。

 ちなみに前作のエッセイでも書きましたが……


退職届……仕事辞めるよ! と言う宣言。


退職願……仕事辞めて良いですか? と言うお願い。


 つまり【退職届】を提出された場合、会社側に拒否権はありません。僕は気で【退職届】を持ってきたわけです。


 いつも僕は一番最初に出社していました。その日も最初に出社したところ、次にやって来たのは社長。これはチャンス。そう思って退職届を握りしめて


Ghost

「社長、ちょっとお話があるのですがよろしいですか?」


社長

「うん? なんだ?(むやみに不機嫌そう)」


Ghost

「会社辞めさせて頂きたいと思って(退職届を手渡す)」


社長

「……辞めてどうするつもりだ?(めっちゃ不機嫌そう)」


Ghost

「知り合いの芸能事務所から脚本家としてスカウトされたんです」


社長

「……なに言ってんのかわからん」


Ghost

(……はぁ?)


社長

「あのな、お前、設計者だろ? 設計者が設計以外の事考えるなよ!」


Ghost

(……なに言ってんのかわからん!)


社長

「余計な事ばっかり考えてないで仕事しろ!」


Ghost

「いや、その仕事を辞めるつもりなんですよ(笑)」

(もはや話通じな過ぎて笑えてきてる)


 そう言って退職届を社長に突き付ける。


Ghost

「退職日は二か月後なんでよろしくお願いします」


社長

「わかった……じゃあ、これは一か月だけ預かっておいてやる。しばらく考えておけ」


Ghost

(なんもわかってねー!! むしろ、お前が考えろ!!)


 社長にそう言われまして律義に考えていた考える振りをしていた僕ですが、一か月どころか一週間足らずで……


Ghost

(仕事辞めてぇ! 仕事辞めてぇ! 働きたくないでござる!!)


 と発狂しそうになり、一か月も考える事も無く再び社長に直談判しに行きました。


Ghost

「社長。預けていた退職届ですが受け取ってください。仕事辞めます」


社長

「……そうか」


 会社側に交渉の余地がない【退職届】を前にしてもこうやってグズる辺り、経営者のクセに退職届と退職願の違いを知らなかったんだろうなぁ。


 ちなみに、この頃、他社に出向していた先輩がなんで僕が辞めたのか社長に聞いたところ社長は


社長

「なに言ってんのかさっぱりわからなかった」


 と言っていたそうな。

 んー。社員をクビにするならともかく、辞められるとかプライドが許さなかったのかなぁ?




〇「仕事辞めたいんですけど」に対するブラック先輩の反応


 僕が仕事を辞める少し前の事。 B社の先輩たちが僕の送別会を開いてくれました。

 正直、送別会とか面倒くさい、とすら思っていたのですが、出向先でお世話になった先輩が送別会の発端者だったので断るわけにもいかず、が全員そろっての飲み会となりました。


 そんな時でもネチネチ嫌味が止まらないブラック先輩。

 何故このブラック先輩の嫌味が止まらないのは他でもない、んです!


 元々は料理の専門学校に通い調理師の免許を取ったブラック先輩。それがなぜか機械設計なんて言う畑違いの業種で働いている。人それぞれ紆余曲折うよきょくせつはあるのでしょうけれど、どうもこの人は調理の世界で失敗して拗らせたんだろうなぁ、という印象がありました。




 例えば僕が退職する一年ほど前、こんな事がありました。


ブラック先輩

「転職の助けになるからエクセルとワードの資格とったんだ(ドヤ顔)」


Ghost

「へー、ソウデスカ(ちなみに僕はその資格は学生時代にすでに取得済み)。調理師免許持ってるのにそれは使わないんですか?」


ブラック先輩

「調理の世界は甘くねえんだよ」


Ghost

(ワード、エクセルの初歩の資格程度で転職が上手くいくほど世の中甘くねーよ)


 また、別の時には


ブラック先輩

「この間、吉野家に行ってさ」


Ghost

「へー、ソウデスカ」


ブラック先輩

「普通の牛丼頼んだのにツユダクだったから、半分以上食べた後だったけど作り直させてやった(どや顔)」


Ghost

(うっわ、三十歳過ぎてこれは心が小さすぎる!)


 ファストフード店の食べ物にまでケチをつけるあたり、調理師としてどこか拗らしてんだろーなぁ、と思っていたわけです。




 さて、こんな拗らせたアラサーであり、会社を辞めたくて仕方がないブラック先輩。彼がB社に残るのに、僕は他社からのスカウトと言う形で会社を辞めるなんてフラストレーションが溜まるに決まっています。


 と言うわけでチャンスがあれば嫌味がこぼれます。が、しかし、最後と言う事もあって僕も遠慮しない。


幹事先輩

「へー、Ghost絵も描いてんだ。どんな絵描くん?」


Ghost

「あー、シュールな絵って言われますね」


ブラック先輩

「ふかわりょうみたいな、よくわかんねーやつだろ(なんか、こう、バカにしたようなニュアンスがふんだんに含まれる言い方)」


Ghost

「シュルレアリズムも知らないんですか? 教養ないですね(つーか、ふかわりょうさんに失礼)」


ブラック先輩

「そもそもお前、いきなり辞め過ぎなんだよ。三か月前に言わなきゃいけない法律知らねーのか?」


Ghost

「法律だと14日前ですよ。知ったかぶらないでください」


 と言った具合に終始嫌な雰囲気の漂う送別会でした。ま、おかげで二次会もなく、さっさとトンズラする事が出来たのでヨシとしましょう(笑)




〇「仕事辞めました!」に対するC社長の反応


 さて、社長に退職届を出して一月以上が経ち、ようやくB社の退職日が決まった後の事です。


(そうだ! 仕事辞めるのが確定した事を芸能事務所CのC社長に報告しなきゃ)


 そう思いC社長にその旨をメールしました。


 ……が! そのメールの返事がいつまでたっても返ってこない。

 忙しいのかなぁ、と思って特別慌てる事はなかったのですが数週間ほどしてようやくメールが返ってきました。


C社長

《Ghost君には大変申し訳ないのだけれど、芸能事務所Cは一度終わらせようと思います。また別の機会にGhost君の力が必要になったら、その時は連絡させてもらうね》




 ……はぁ?


 ちなみにB社を退職する日まで残り僅か!

 このタイミングで無職が確定したGhost!


 はぁぁぁぁぁぁぁ!


 これにて【地方の芸能事務所編】は終了です。

 次回より【舞台・演劇・イベント制作編がスタートです。


 to be continued(/・ω・)/

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