第8話 エロ漫画制作、男二人、何も起きないはずもなく……
前回のあらすじ。
路上で知り合った絵師Aと意気投合したGhost。僕の
Ghost
「で、締め切りはいつなの?」
絵師A
「三日後です」
Ghost
「三日後!?」
〇エロ同人、ヤマ無し、オチ無し、意味も無し。Ghostやおいの一句。
絵師Aが僕の家に到着後、まずは状況確認です。
・前回のやり取りの通りネームは三分の一ほどしか終わっていない。
・完成したネームの半分くらいは線画まで終わっている。
・ストーリーは決まっている(というか中身のないエロ同人なのでストーリーなんて無いような物)。
・よってセリフもほぼ決まっている。
・漫画を作るにあたって《SAI》というソフトを使用する。
というわけで、さっそく僕のパソコンにも《SAI》をダウンロード。
このソフトは漫画を描く事に特化したものらしく、プロの漫画家さんも使っているそうな。一切、予備知識はありませんでしたが、僕は仕事でCAD(図面を描くソフト)や3D・CAD(三次元の図面を描くソフト)を扱っていたので、
Ghost
「半日くれ。さわりくらいはマスターするから」
絵師A
「おなしゃす!」
SAIを使ってすでに出来上がっているネームにトーンを張る作業をしながら操作方法を覚える事にしました。その間に絵師Aが残りのネームと線画を完成させていきます。
作業をしながら線画で描かれたキャラクターを見て思います。
Ghost
(上手い! けど知らないキャラクターだ)
「ね、これ何の二次創作なの?」
絵師A
「《日常》って漫画ですよ。アニメ化もされてて面白いですよ」
Ghost
「ふーん、気が向いたら見てみる」
さて、知らないとはなんと恐ろしい事か……。
ご存じの方も多いかと思いますが、この《日常》。かなりシュールな物語ですが、エロ要素なんて一切ない極めて平和なギャグ満載のお話です。
後日、この《日常》のアニメを見た僕は自分が手を貸したエロ同人とのギャップに、
Ghost
『オレはこんな
と絶望と共に心の傷を負ったのですが、それはまた別の話。
それにしたって何で『日常』なんだよ! エロ同人にするなら他にもっとあるじゃんよ!!
〇締め切り、締め切りって騒いだところで、こっちは腹も減るし、眠くもなるんじゃい!!
絵師Aとのエロ同人制作を始めて半日が過ぎたころ、SAIの操作方法も覚え(今回の制作で使う範囲に限る)、一ページにつき何分かかるか、というところまで見えてきました。
そこから逆算して完成までに、あと何時間必要か計算することにしました。そこからさらに、食事に使う時間、睡眠に使う時間を確保していき、おおよそのスケジュールを組んでいきます。
この辺はブラック企業での
この際、絶対に欠かせなかったのが《睡眠》と《食事》です。いくら絵師Aが若いとはいえ無理をするもんじゃありません。それに僕はこの当時も統合失調症等々の
ノートパソコンに向かいながら唐突にチートスキルが発動して、
Ghost
『肉まんって、かなりゲリラ戦術的だよね』
とか訳のわからないこと言い出してもおかしくありません(ちなみにこれは僕が寝言で本当に言ってた言葉らしいです……え?)。
睡眠は最低でも3時間~5時間は取るようにして(正直足りないけれど)、作業ペースによっては随時増やしていく、と言った感じ。
食事は近所のスーパーから適当な野菜を買ってきて、すぐに作れるもの、例えばお好み焼きとかチャーハンとかチャプスイ(中華風アメリカ料理の餡かけチャーハン)をササっと作り、作業後半になれば胃腸にも疲労が出てくるのでショウガなどを利かせたお粥を作ったり等々……絶対に食べないと言う状況だけは避けて作業を進めました。
これは体調管理や作業効率もありますが、そもそも僕も絵師Aも中々に食いしん坊。食べない事には何も始められない! という共通点からこのような方針にしました。
ちなみに、
・Ghost(当時25歳くらい) → 病気のせいか体が過緊張しているので、いくら食べても太れない。
・絵師A(当時20歳くらい) → 生まれながらの戦闘民族なので、いくら食べても筋肉になる。
〇描いてて良かった、エロ漫画!!
そんなこんなで制作を続けて二日が経ったころ、線画も終わり、トーン張りも順調に進み、絵師Aによる細かな修正と、僕によるセリフの配置作業がメインになっていきました。
前述したようにセリフはほぼ決まっていますが、僕が小説を描いていたと言う事もあり文章の簡単なブラッシュアップをしながら作業を進めていきました。
……が、しかし。この二日間にわたる睡眠不足と過度な集中のせいで、僕らはこの辺りから体力、精神力の限界を迎えます。その結果……
しょうもない事がおかしくて仕方がない、深夜のテンションに
僕がセリフとセリフの吹き出しを描いていたのですが、次第に頭がおかしくなっていった結果(精神疾患のせいかもしれな……それはないか(笑))男性キャラクター(全裸)が出ているコマは全てキャラクターの股間の向かって吹き出しを伸ばして、股間が喋っているかのように改変し、
Ghost
「ね、ね、絵師A! 絵師A! セリフの吹き出しこれで良い(超笑顔)」
絵師A
「な!? こ、これは、真理ですね!!」
Ghost
「真理! 真理! キャッキャ!」
絵師A
「真理! 真理! キャッキャ!」
そんなこんなで夜が更けていった三日目の夜、原稿がすべて完成。早速データをメールで送って全ての作業を終える事が出来ました。
その数か月後に完成した原稿を改めて見せてもらったのですが、深夜のテンションで暴走した結果を見て後悔したのは言うまでもありません。
まぁ、友達と何かを作る、という点においてこの時の事はとても楽しい思い出ですけれど(/・ω・)/
時間は流れ現在。
絵師Aはイラストレーターとして活躍していて、海外にもファンがいる絵描きになっています。
昔の絵を知っているからこそ、あれからずっと努力を続けてきたんだなぁ、と思えるような凄い画力になっています。
あと、前にも増してエロい絵が上手くなってる。性癖が尖り過ぎていて僕には追い付けないけれど(笑)、その情熱は今でも僕を感動させてくれます(/・ω・)/
そして僕。現在の仕事では役所等への申請の為に、元受けの企業が作った図面に色々と追記する作業を行う時があるのですが(元々、今の会社にはなかった業務。僕が入社した事で少しばかり広がった新規事業?)、何を隠そうこの作業にエロ同人制作の時に覚えたソフト《SAI》を使っております。
いやぁ、ホント人生、どんな経験が役に立つのかわからない!
描いてて良かったエロ同人!!
さて路上での表現活動をしていた間も僕は仕事をしておりました。
次回は僕が働いていた職場《普通のブラック企業B社》での出来事を少しばかり綴っていこうと思います。
ま、所詮は普通のブラック企業。大したことありませんよ(白目)
to be continued(/・ω・)/
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