ブラック企業に就職した俺がチートスキル(精神疾患)を手に入れて、現実社会で俺YOEEEE!!する実話2! ~ブラック・アーティスト群像劇編~
第6話 路上には普通そうな顔して普通じゃない人ばかりいる!
第6話 路上には普通そうな顔して普通じゃない人ばかりいる!
前回までのあらすじ。
役者Aの思い付きにより始まった和服を着て路上でパフォーマンスをする集団【和服会】は結成直後に消滅した物の、路上で
東京に行ってしまった役者Aをよそに、Ghostは路上で触れ合った子供、学生、サラリーマン、年配の人。
さらには、暴走族の少年に、家出娘に腐女子、酔っ払いのオッサン。
はたまた、失恋したギャルに、ナンパしに来たチャラ男、エロゲーオタク。
そしてそして、怪しげな宗教家から、哲学者、マルチ商法の勧誘、ホームレス、旅人、ヤク中、バンドマン、詩人、政治家達との出会いを存分に楽しんでいるのでした。
今回のエピソードでは数多くある路上での出来事のうち、いくつかをご紹介していこうと思います!
○オッサンは とにもかくにも ディスりたい(Ghost、オッサンについての一句)
路上で絵を描いている時はいつも、
『描いた絵を絵葉書にして販売しています。興味のある方はお声がけください』
と言う宣伝文と共に絵葉書を自分の目の前に並べていました。興味を持った人は覗き込んだり、話しかけてくれたりします。
多くの人達は(絵葉書を買う、買わないは別として)にこやかで、取り留めのない世間話に花を咲かせたり、面白い小話を聞かせてくれたりしました。
しかしながら世の中には例外があります。
それが酔っぱらったオッサンという人達。
(大半のオッサンは気さくで良い人なのよ。僕や他のメンバーの絵を見て『花鳥風月ってのは堅苦しくてダメだ。お前らみたいなぶっ飛んだ絵の方がよっぽど芸術だ!』と言っていたファンキーなオッサンも居ましたし(笑))
彼らは一癖も二癖もありまして。ツカツカツカと言う足音が近づいてきたかと思うと僕の目の前にドッカとしゃがみ込みまして、酒臭い息で話しかけてきます。
酔っ払い
「お前さん、こんなつまんねー手をしてんのかい?」
当時の僕は手をモチーフにした作品に凝っていて、その日も自分の手を参考にしながらちょっとシュルレアリズム的な絵を描いていました。
酔っ払い
「手っていうのはなぁ、その人の生き方とか、仕事とか、そういうのが現れてだなぁ、個性が出てくるもんなんだ……うんぬんかんぬん」
とご高説が始まり、「はぁ、はぁ、なるほど」と相槌を打っていると勢いを増していく酔っ払い。
酔っ払い
「ためしにお前の手、見せてみろ」
Ghost
スッ……(オッサンの目の前に手をかざす)
酔っ払い
「なっ!? お前さん……綺麗な手してるな(驚愕の表情)」
Ghost
(うるせえわい! ボケェ!!)
と、心の中でなぜ僕が怒鳴るのかといえば綺麗な手は僕にとってコンプレックスの一つなのです。いかにも男らしいゴツイ手に憧れていたのですが、剣道や空手で掌や拳を鍛えて出来た《竹刀ダコ》も《拳ダコ》も辞めた後には数年で完治。つやつやお手てに元どおりです。ふぁっく!
でも、この酔っ払いのように絵についてとやかく言ってくる人は全然良い方でして、中には延々と愚痴、説教をしていく人も多いです。
しかもその内容が僕に全く関係なく、さらに何に対して憤っているのか、と言った状況説明も一切ないので何に対して怒っているのか全く分からない状態で赤の他人から説教を受ける事も何度かありました。
そんな時、僕は「うん、うん。そうですね」と頷きながらこう思うのです。
Ghost
(僕は地蔵、僕は地蔵。世が平和であらんことを……アーメン)
○オレ、ちゅぱ音だけで声優の名前が分かるんですよ。ニチャア……
とある週末の夜、某駅の連絡通路で絵を描いていた時の事です。大学生の男の子二人組がやってきました。
一人は以前にも路上で話をした事がある哲学を勉強している青年。彼が僕に話してくれたエピソードは凄くおもしろかったのだけれど、ちょっと難解なので詳細はまた今度にしておきます。
そしてもう一人の青年。背恰好、ファッション、立ち振る舞い等々でいわゆるオタ……サブカルチャーに造詣が深い人だとわかる青年でした。
当時は《萌え系》の絵がデザインとしてあらゆる場所で使われ始めた時代でした。イラスト制作会社や広告会社などは
『青田買いしてでも《萌え画絵師》を探せ!』
と息巻いて絵の描ける人間を探していたので、僕もアニメ作品を見たり、練習してみた事があります(実際描いてみたらめっちゃ難しかった。あれは本当に好きな人たちが情熱を持って描いているんだと思う)。
なので自然とオタ……サブカル大学生とも話が弾み、そして時間が夜と言う事もあって話題は下ネタへ進んでいきました。彼はアダルトゲーム……いわゆるエロゲーに関して特に深い知識を所有していて
サブカル大学生
「オレ、チュパ音で声優さんの名前当てられるんですよ。ニチャア」
Ghost
「あ、ごめん。チュパ音って何?」
サブカル大学生
「口でチュパチュパ言ってる音ですよ」
公衆の面前で”チュパ音”についてサブカル大学生からレクチャーを受けたわけですが、まぁ、ナニをちゅぱちゅぱしてるかは
蛇足ですが路上で絵を描いているとサブカルチャーが好きな人たちとよく出会います。某駅の近くには《アニメイト》や《とらのあな》、《ビレッジバンガード》があったからかもしれませんが、エロゲー好きな青年や、BL好きな腐女子さんが話しかけてくれることが多く、カップリングだとか、ネコやらタチやら知らない言葉を教えてくれたり、サドマゾ論等々……道行く人と色々話す機会がありました。
(「えーと、つまりデスノートで言うとLと夜神総一郎さんのカップリングはアリだと思うんだけど……L×夜神総一郎か夜神総一郎×Lどっちがより萌えるのか……うーん」なんて話をBL好き女子高生と真面目に議論したりしていたけど、今思うと頭おかしいと思う。というか公衆の面前で、なんつー話をしているんだ!)。
彼らからそういう世界の話を聞き、一度、友達から”エロゲー”という物を借りてみた事があります。
Ghost
(何事も社会勉強、何事も社会勉強、何事も……)
と自らに言い聞かせてゲームを始めてみたところ、開始数分でヒロイン的な女の子から
エロゲー・ヒロイン
「もう、私に近づかないで」
的な事を言われてバッドエンドを迎えました。
現実でもパッとしないのに、何が悲しくてフィクションの世界ですらフラれなきゃいかんのじゃ! 二度とやるかボケェ!!
○Ghost、逆ナンされる。
こちらも週末の夜、某駅のペデストリアンデッキで絵を描いていた時の出来事。スケッチブックに向かって鉛筆を動かしていると、小走りで近づいてくる足音が聞こえてきました。
顔を上げてみると十代後半から二十代前半くらいのギャル系ファッションの女性が微笑んでいます。
ギャル
「あのー、死んだカップルの絵を描いて下さい!!」
Ghost
「おい、お嬢ちゃん! いったい何があった!?」
話を聞いてみると、その子は最近フラれたばかりで、今日はその腹いせに友達と飲みに行く約束をしていて駅で待ち合わせ中だったそうな。
で、友達を待っている間、僕を見つけて腹いせに『死んだカップル』を描いてもらおうと声をかけたそう。
何というサイコパス!!
Ghost
「そういう事なら仕方がない。それじゃ、死んだカップル描いてみましょうか」
と言って描き始めた僕も大概ですが(笑)
さて、この時描いた絵ですがカクヨムでは画像の添付が出来ないためTwitterの方にアップしておこうと思います。(需要があるのかわからないですが(/・ω・)/)
『死んだカップル』なんて言ってますが、僕には単なるグロい絵を描くなんてことは芸術とは思えません。不気味な雰囲気をかもしつつ、物語性も垣間見えるシュルレアリズムな作品に仕上がっている(はず!!)ですので、気が向いた方は僕のプロフィールからTwitterの方へおいでやす。
まぁ、三十分足らずで描いた物なのであんまり期待はしないでね(/・ω・)/
絵を描き始めて十五分くらいすると、フラれたギャルの友達も合流。
絵の完成を前に彼らは飲みに行ってしまったのですが、そのあと歩くたびにチャラチャラ音がしそうなチャラそうなギャル男二人組が僕の前で足を止めました。
ギャル男さん1
「
Ghost
「良かったら見てってください。お兄さんたちは、これから飲みに行くんですか?」
ギャル男さん2
「
Ghost
「あー、さっき男の人に振られたばかりのギャルっぽい娘にリクエストされてね」
ギャル男1
「
Ghost
「で、その子が『死んだカップル』描いてくれって言うから……こんな感じ」
ギャル男2
「
ギャル男1&2
「「なにこれ、切ねぇ……」」
ギャル男さんたちのちょっとピュアな反応に思わず吹き出してしまったGhostでした。
さて、僕に『死んだカップル』をリクエストした女の子ですが、僕が絵を描いている最中、
ギャル
「お兄さんこれから暇ですかー」
「一緒に飲みに行きませんかー」
と誘ってくれたのですが、この日は車で某駅まで来ていた事と、飲みに行くようなお金も持ち合わせていなかったので丁重にお誘いは断らさせて頂きました。後日その事を友人に話したところ、
「え、それ逆ナンじゃん」
マジかよ! 逆ナンって本当にあるの!? 都市伝説だと思ってた!!
○Ghost、ナンパされる♂。
これまた週末の夜、某駅のペデストリアンデッキで絵を描いておりました。ちょっと寒くなってきた季節で、道行く人は足早に僕の目の前を歩いていくのですが、ふと足を止める人影が。
顔を上げてみると十代後半くらいでしょうか、大学生風の男の子が一人立っています。メガネをかけていて体格はちょっとぽっちゃり目。
ぽっちゃり男子
「何やってるんですか?」
Ghost
「絵を描いているんですよ。良かったら見ていってください」
そう言うと少しの間、黙って絵を眺めるぽっちゃり男子。この辺りで、路上でいろんな人と取り留めのない会話をしてきた僕の勘が囁きます。
Ghost
(ん? 何だかこの人、間合いに違和感があるぞ。あきらかに絵に興味なさそう)
ぽっちゃり男子
「オレ、調理師の免許持ってるんですよ」
Ghost
「へ、へぇー。すごいですね」(唐突に一体何の話だ?)
ぽっちゃり男子
「ご飯作るんで、今から家に来ません?」
Ghost
「はい?」(はい?)
ぽっちゃり男子
「美味しいもの作るんで来てくださいよ」
Ghost
「いや、ちょっと、そういうのは……これから用事もあるし」(用事などない)
ぽっちゃり男子
「いやいや本当においしいんで。お金とかもいらないから、楽しいですよ」
Ghost
(あ! これ多分ナンパだ! 友達の女の子から全く同じ話を聞いたことある。つーか、こいつ、人の話全然聞かねぇぇー!!!)
それから僕は理由をつけて”行かない”と断るのですが絶対に引かないぽっちゃり男子。
ぽっちゃり男子
「それじゃあ、電話番号教えてください」
Ghost
「あ、急用があるんで、今日はこれで失礼します!」(うっせ、バーカ。バーカ)
と逃げたのもつかの間、家路に着く電車に乗ると……
ぽっちゃり男子
「帰る方向おんなじでしたね。今なら時間あるんで電話番号教えてもらえますよね……ニチャァ」
Ghost
(いやーーー! こいつマジで、ヤバい奴や!!)
電車の中まで追っかけてきたぽっちゃり男子。この時点で怖気が立ちまくりのGhost。そして、しぶしぶ携帯電話を取り出して、電話番号を読み上げるのですが、もちろん伝えたのはウソの番号(/・ω・)/
その後、僕は電車を降りたのですが、電話番号をゲットしたからかこれ以上追いかけてくる気配は無し。
さすがに家まで追いかけてきたら、
一つ
人の趣向は個人の自由。
それを否定するつもりは一切ありませんが、正直、僕は見ず知らずの男から言い寄られるのは中々に気分のいい物ではありませんでいた(そう感じてしまうのは僕の自由だからね!)。
きっと”性”は”アイデンティ”に強く絡みついているから、と言う事なのかな?
そこから転じてLGBTの人達に旧来の”性”を押し付ける、と言う事がどれだけ彼らにストレスや嫌悪を与えているのか、と想像するとこれはなかなかに大変そうです。
僕の好きな小説『ジェネレーションX』(ダグラス・クープランド著)にてページの端っこに記載されていた、You are your own sex.(君は君なりの性別だ。)という言葉を思い出した出来事でした。
もう一つ。
こちらの事情に関心がないクセに距離感を縮めてはいけない、と言う事。
男性だろうが女性だろうが見ず知らずの人間に言い寄られても気持ち悪いだけです。
先程、逆ナン? してきたギャルの話を書きましたが、彼女はこちらが断れば簡単に退いてくれました。
それに比べて男のナンパはしつこくてウザい!! そして怖い!!!
昨今では路上での”声掛け(ナンパ)”を条例で禁止している地域も多いですが、完全に納得です。
いや、ナンパそのものを悪とは言わないけれど、こっちが難色示したらさっさと消えなさいよ。
社会に出て営業する時だって、しつこいのは嫌われるだけだし、お互いに時間の無駄なのよ。
そもそも、いきなり初対面の他人の家に言ってご飯食べるとか意味わかんねーし!!
さて、路上で起きたてんやわんやの大騒ぎエピソードは、まだまだたくさんあるのですが今回はこれくらいに(/・ω・)/
次回は役者Aが去って和服会が消滅したあと、路上で僕が一人で細々と絵を描いているうちに
「一緒に活動したいです!」
と言ってくれた仲間との出会いと、そこから自然発生的に生まれたアート集団について描いていこうと思います!
to be continued(/・ω・)/
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